メニュー

論文記事:市町村保健師の平時における防災意識 202104-04 | 一般財団法人厚生労働統計協会|国民衛生の動向、厚生労働統計情報を提供

m header btn

一般財団法人 厚生労働統計協会

サイトポリシープライバシーポリシー

pmark     お問い合わせ

論文

論文

第68巻第4号 2021年4月

市町村保健師の平時における防災意識

-災害時活動の経験との関連-
川口 桂嗣(カワグチ ケイジ) 伊藤 俊弘(イトウ トシヒロ)

目的 本研究は,市町村保健師の平時における防災意識を明らかにし,これらと災害時活動の経験との関連を明らかにすることを目的とした。

方法 対象者の基本属性,災害時活動の経験の質問項目,災害対策に関する公共資料等を参考に「災害に対する考え」「災害対応力」「組織活動状況」「援助者としての知識経験」の各構成要素からなる「保健師の防災意識」に関する質問項目による調査票を作成し,北海道内の市町村保健師に配布・回収した。

結果 調査票を配布した1,343名のうち549名から回答が得られ(回収率40.9%),データに欠損のない495名(有効回答率36.9%)を対象に分析を行った。各構成要素に因子分析を行い,これらに信頼性・妥当性の分析を繰り返して因子を調整した結果,「災害に対する考え」8項目3因子,「災害対応力」7項目2因子,「組織活動状況」7項目2因子の各下位尺度が得られた。これらの因子に対する災害時活動の経験および災害による被害の影響を検討した結果,災害時活動の経験は7因子中6因子に関連を認めたが,災害による被害は1因子にのみ関連を示し,防災意識には災害時活動の経験が強く影響することが示された。

結論 北海道の市町村保健師の平時における防災意識は,災害時活動の経験との間に強い関連が示された。今後は,本質問項目をさらに検討し明らかにしていく必要はあるが,防災意識を明らかにすることによって保健師の災害教育等に活用され,保健師の災害に対する意識の向上に有用な指標となり得ることが期待される。

キーワード 市町村保健師,災害,防災意識,保健師教育

 

論文