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論文記事:就労継続支援事業所を利用する若年性認知症の人の実態 202105-04 | 一般財団法人厚生労働統計協会|国民衛生の動向、厚生労働統計情報を提供

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第68巻第5号 2021年5月

就労継続支援事業所を利用する
若年性認知症の人の実態

小長谷 陽子(コナガヤ ヨウコ) 齊藤 千晶(サイトウ チアキ)

目的 若年性認知症の平均発症年齢は働き盛りの51.3歳であり,発症によって休職や退職を余儀なくされると,本人・家族への影響だけでなく,有能な人材が失われるなどの社会的な影響も大きい。著者らは,現役で働く若年性認知症の人が退職した後の就労先として障害者施設が多いことをすでに報告した。今回は,すべての都道府県に若年性認知症支援コーディネーターが配置された時点で,就労継続支援事業所における若年性認知症の人の受け入れ実態と受け入れ・利用中・退所等に関して,事業所内での工夫や課題,外部の支援者との連携状況について詳細に把握することとした。

方法 全国の就労継続支援事業所A型・B型および就労移行支援事業所に調査票を郵送した。一次調査で該当者ありの事業所に二次調査票を郵送した。調査項目は運営主体,受け入れている若年性認知症の人数,性別,年齢,診断名,発症時期,診断時期,開始からの利用期間,日常生活自立度,認知症の程度,外部の支援者の利用,介護保険申請の有無,若年性認知症支援コーディネーターとの連携の有無等である。

結果 調査時に受け入れている,あるいは以前に受け入れていた若年性認知症の人のうち,詳細が判明した302人の状況について分析した。男性が約7割であった。利用開始年齢は,A型事業所では男性は55~59歳が多く,女性は50~54歳と60~64歳が多かった。B型事業所では男女とも60~64歳が最も多く,就労移行支援事業所では男性は55~59歳,女性は40~49歳が最も多かった。診断名では,いずれの事業所でも「アルツハイマー病」が最も多く約半数であった。利用開始から平均の利用期間は,全体では35.9カ月であった。(Ⅲa)以上の介護が必要な人は,利用開始時には35人であったが調査時には76人であった。外部の支援者の利用は,作業内容に関しては,いずれの事業所でも「あり」は4割以下で,支援者の内訳では「相談支援事業所」が最も多かった。認知症の症状に関する外部支援者の利用は,「あり」が半数以上であり,支援者の内訳では「利用者の主治医」が最も多く,次いで「若年性認知症支援コーディネーター」が多かった。

結論 就労継続支援事業所における若年性認知症の人の受け入れはまだ多くはなかったが,受け入れている事業所では様々な工夫がされており,外部の専門職との連携もみられた。今後は障害者だけでなく難病や認知症など様々な障害を持つ人に開かれた事業所が増えるよう,さらなる支援が必要である。

キーワード 若年性認知症,就労継続支援事業所,就労継続,外部の支援者,若年性認知症支援コーディネーター

 

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