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論文記事:中堅前期・後期保健師の職務満足感に関連する要因の検討 202106-04 | 一般財団法人厚生労働統計協会|国民衛生の動向、厚生労働統計情報を提供

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第68巻第6号 2021年6月

中堅前期・後期保健師の職務満足感に関連する要因の検討

玉井 公子(タマイ キミコ) 星野 明子(ホシノ アキコ)
志澤 美保(シザワ ミホ) 桂 敏樹(カツラ トシキ)

目的 地域保健活動の中核を担う役割を期待される中堅前期・後期保健師(経験年数4~20年目)を対象に,職務満足感に影響を及ぼす要因を明らかにすることを目的とした。

方法 近畿圏の自治体に勤務する経験年数4年目以降の保健師を対象に,自記式質問紙調査(属性および職場特性,対人支援能力,地域支援および管理能力,自己効力感,自尊感情,職務満足感)を実施した。分析方法は,中堅前期(4~10年目)と中堅後期(11~20年目)の2群にわけて,それぞれ記述統計,2変数間関連分析(相関係数),および職務満足感を従属変数とした重回帰分析による要因分析を行った。

結果 調査票送付数986人のうち回収490人(回収率49.7%),有効回答数は473人(有効回答率48.0%)であった。回答者のうち,中堅前期(4~10年目)117人,中堅後期(11~20年目)109人を分析対象とした。単変量解析の結果,中堅後期は中堅前期に比較して職務満足感,専門職務遂行能力の対人支援能力,地域支援および管理能力のいずれも有意に高かったが,自己効力感,自尊感情は両群に有意差は認められなかった。職務満足感を従属変数として重回帰分析を行った結果,中堅前期はモデルとなる先輩保健師の存在(β=0.349),自尊感情(β=0.298),家庭訪問活動の有無(β=0.267)などが,中堅後期では組織横断的な保健師連携会議の有無(β=0.241),相談できる先輩や同僚がいる(β=0.210),専門職務遂行能力の対人支援能力(β=0.183)などが職務満足感を高めた。

結論 中堅期の前期と後期では,保健師の職務満足感に影響する要因が異なるため,その特徴を捉えた配置と職場における個別性を考慮した人材育成の検討が必要であると考える。中堅前期はモデルとなる先輩の存在が得られ,家庭訪問活動が実施できる部署への配置が望ましいと考える。一方で中堅後期は,専門職務遂行能力の対人支援能力が発揮でき,保健師連携会議や相談のできる先輩・同僚の存在など,チームで仕事を進める職場環境の充実が重要であると考える。

キーワード 中堅前期・後期保健師,職務満足感,専門職務遂行能力,自尊感情,自己効力感

 

 

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