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論文記事:食べる速さとBMIに関するメタ分析 202107-03 | 一般財団法人厚生労働統計協会|国民衛生の動向、厚生労働統計情報を提供

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第68巻第7号 2021年7月

食べる速さとBMIに関するメタ分析

橋本 泰央(ハシモト ヤスヒロ) 小玉 麻由佳(コダマ マユカ)
上田 由喜子(ウエダ ユキコ) 小塩 真司(オシオ アツシ)

目的 食べる速さによるBMIの平均値差,およびその年齢による違いをメタ分析によって明らかにすることを目的とした。

方法 医中誌,Medlineから検索式「(食べる速さor食事速度or早食いor摂食速度)and(肥満or BMI)」「(eating rate or eating speed or eating rapidly or eating quickly or eating slowly or eating fast(NOT fasting))and(Odds of(overweight or obesity)or body mass index)」にて1,265本の論文を収集した。そこから①大学紀要などを除く査読付き論文で原著論文,②日本語または英語で書かれている,③健常者を対象としている,④食べる速さの尺度が速い,普通,遅いに分かれている,⑤食べる速さと肥満の関係がBMIまたはオッズ比で報告され,⑥過体重が成人ではBMI25,子どもは国際肥満タスクフォースで定められたカットオフ値で定義されている,⑦文献間でデータが重複していない25件(38研究)を分析対象とした。効果量には標準化されたBMIの平均値差を用い,変量モデルを採用した。効果量の異質性はQ統計量およびI2で計測し,対象者の年齢,性別,国籍ごとにサブグループ分析を行った。Egger法を用いて公表バイアスの有無を検定し,failsafe Nとtrim and fill法を用いて分析結果の頑健性を検討した。

結果 食べる速さが速い群と普通群の比較(38件)では速い群は普通群よりも有意にBMIが高く,年齢で分けても,さらに性別で分けて検討しても同様の結果であった。食べる速さが遅い群と普通群の比較(35件)では遅い群は普通群よりも有意にBMIが低かった。この傾向は年齢で分けても,さらに性別で分けて検討しても同様の結果であった。また,いずれの比較においても子どもの方が大人よりも効果量が大きかった。研究全体の異質性はどちらの比較においても高かった。公表バイアスが結果に及ぼす影響はいずれも小さいと考えられた。

結論 食べる速さが普通の群に比べ,速い群はBMIが高く,遅い群は低かった。群間のBMIの平均値差は子どもの方が大人よりも大きいことが示唆された。

キーワード 食べる速さ,BMI,メタ分析,効果量,肥満,やせ

 

 

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