論文
第68巻第12号 2021年10月 若年性認知症者の経済状況に応じた
竹本 与志人(タケモト ヨシヒト) 杉山 京(スギヤマ ケイ) 倉本 亜優未(クラモト アユミ) |
目的 本研究では,居宅介護支援事業所の介護支援専門員を対象に,若年性認知症者の経済状況に応じた社会保障制度の選定能力について,事例問題を用いて明らかにすることを目的とした。
方法 近畿,中国(うち1県を除く),四国,九州・沖縄地方に設置されている居宅介護支援事業所16,345カ所(2017年7月時点)から層化二段階抽出法により選定した1,500カ所の事業所を対象に質問紙による郵送調査を行った。調査内容は属性,若年性認知症者の事例問題,社会保障制度の選定能力を確認する項目,事例問題における経済問題の軽減・解決のための相談先の意向等で構成した。調査期間は2017年10月から同年11月の2カ月間であった。
結果 回答は478名から得られ,統計解析には当該項目に欠損値のない386名の資料を用いた。事例問題に対する社会保障制度の利用の可否の回答を用いてクラスター分析を行った結果,5つのクラスターに類型化されると判断した。
結論 5つのクラスターいずれもが社会保障制度の選定能力に課題を有していたが,相談先の意向を確認すると,その選定能力を補完する援助要請を行っている可能性が示唆された。今後は,相談先の人・機関が適切な助言を行うことができているか否かについて確認することが課題である。
キーワード 若年性認知症者,社会保障制度,介護支援専門員,経済問題,経済支援,事例問題