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論文記事:子どもをもたない有配偶成人の主観的幸福感とその関連要因 202112-05 | 一般財団法人厚生労働統計協会|国民衛生の動向、厚生労働統計情報を提供

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第68巻第15号 2021年12月

子どもをもたない有配偶成人の主観的幸福感とその関連要因

-就労形態による分析-
福島 朋子(フクシマ トモコ) 沼山 博(ヌマヤマ ヒロシ)

目的 子どもをもたない中年期有配偶者の主観的幸福感とそれに関連する要因について,就労形態による検討を行うことを目的とする。主観的幸福感に関連する要因としては,夫婦関係満足度,仕事の満足度,伝統的家族・ジェンダー観,経済的ゆとり感を取り上げた。

方法 2018年10月および2019年1月にWeb調査を行った。調査会社にモニター登録している該当者に同社を通して調査依頼を行い,全国の子どものいない45~60歳の有配偶男女667名の協力を得た(女性461名,男性206名)。これらを女性フルタイム群,女性パートタイム群,女性家事専業群,男性フルタイム群の4群に分け,各変数の一元配置分散分析を行った。また,夫婦関係満足度,仕事の満足度,伝統的家族・ジェンダー観,経済的ゆとり感を説明変数,主観的幸福感を目的変数とする階層的重回帰分析を行った。

結果 4群について,まず一元配置分散分析を行ったところ,主観的幸福感,夫婦関係満足度,経済的ゆとり感については,有意な差は認められなかった。仕事の満足度,伝統的家族・ジェンダー観では有意な差が認められ,仕事の満足度では男性フルタイム群より女性パートタイム群で高く,伝統的家族・ジェンダー観では女性フルタイム群・女性家事専業群より男性フルタイム群で高かった。また,階層的重回帰分析を行ったところ,主観的幸福感に対し4群すべてで夫婦関係満足度が有意な正の影響を,女性3群で経済的ゆとり感が有意な正の影響を,女性家事専業群のみにおいて伝統的家族・ジェンダー観が有意な正の影響が認められた。

結論 子どもをもたない中年期有配偶者において,夫婦関係満足度が主観的幸福感を高める重要な要因であることが示された。また,これ以外の要因については,性別や就労形態により異なっており,子どもをもたない成人の幸福感を調査するにあたり,性別や就労形態を含めて把握することの必要性が示唆された。

キーワード 子どもをもたない有配偶成人,主観的幸福感,就労形態,関連要因

 

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