論文
第69巻第1号 2022年1月 医科メディアスによる推計平均在院日数の動向と
西岡 隆(ニシオカ タカシ) |
目的 令和2年度の概算医療費の公表にあわせて,新たに公表をはじめたNDBの集計による「医科医療費(電算処理分)の動向」(医科メディアス)について,「推計平均在院日数」を取り上げ,その状況を解説する。
方法 平均在院日数には,「病院報告」の「平均在院日数」や「患者調査」の「退院患者の平均在院日数」があるが,レセプトの「件数」と「日数」を用いることで「推計平均在院日数」を計算することができる。医科メディアスの「推計平均在院日数」は疾患別に出すことができ,それを患者調査の結果と比較したところ,おおむね,その疾患ごとの特性を表すことができている。この指標は,毎月示すことができる点でもメリットがある。
結果 医科メディアスの疾患別の「推計平均在院日数」について,平成29年度から令和2年度の推移をみると,新型コロナウイルス感染症の影響を受けて,令和2年度は特徴的な変化が起きている。「呼吸器系の疾患」の場合,入院患者が減少する一方で,相対的に軽い患者の減りが大きく,「推計平均在院日数」が長くなり,「妊娠,分娩及び産じょく」の場合,入院期間を少しでも短くする動きが確認され,「新生物」の場合,各月でみると新型コロナウイルス感染症の流行期に減少幅が大きくなり,感染状況に応じて左右された傾向が確認された。
結論 「推計平均在院日数」はレセプトの件数と日数で計算されたものであるため,新型コロナウイルス感染症の流行期の保険請求の事務処理上の緊急対応でPCR検査の診療報酬を「書面により請求すること」とされたことにより,一時的に,従来から公表しているメディアスの数値に影響が出ていることに留意が必要である。
キーワード メディアス,病院報告,患者調査,推計平均在院日数,疾患別,新型コロナウイルス感染症