論文
第69巻第2号 2022年2月 (撤回論文:令和5年3月22日) 高齢者を対象とした訪問指導と運動教室における
井口 睦仁(イグチ ムツヒト) |
(この論文は二重投稿が発覚したため、著者からの申し出により、令和5年3月22日に論文撤回となりました)
目的 本研究では,在宅高齢者を対象にした訪問による運動の実施者と運動教室の参加者に対して,運動介入を3カ月間実施し,高齢者の身体機能にどのような影響を及ぼすのか検討した。また,訪問型,教室型の参加者に対して簡易運動を実施するように指示し,運動継続に及ぼす影響を検討した。
方法 2016年10月,H市在住の高齢者に介護予防運動研究参加者を募集し,応募のあった65名の内,選定基準を満たす49名を対象者とした。訪問群はスクワットと片足立ちを実施し,訪問日以外は,参加者自身が毎日運動を実施した。教室群は,90分間の運動教室(運動遊び,リズム体操,バランス運動,自重負荷トレーニングなど)を実施し,教室以外では,運動の指示はしなかった。対象者は訪問群(女性24名,70.3±1.8歳)と教室群(女性25名,70.2±1.8歳)に無作為にグループ分けした。測定項目は,30秒椅子立ち上がりテスト(CS-30),最大一歩幅,Timed Up & Go Test(TUG),開眼片足立ちであった。
結果 両群ともにすべての項目で介入前より介入後に有意な向上が示された。群間の差異は,CS-30,TUGともに介入後において訪問群よりも教室群の方が有意に高い値であった。追跡調査の結果,訪問群では,TUGは3カ月後,6カ月後も維持されていることが確認された。CS-30,最大一歩幅,開眼片足立ちは3カ月後まで維持されていたが,6カ月後には有意に低下していることが確認された。一方,教室群では,開眼片足立ちは,介入後の効果が3カ月後まで維持されていたが,6カ月後には有意に低下していることが確認された。CS-30,TUG,最大一歩幅は3カ月後,6カ月後には有意に低下していることが確認された。また,簡易運動の実施状況については,訪問型の方が教室型よりも頻度が有意に多く,両群とも8~11週間後に低下した。
結論 本研究では,介入後に在宅で運動を実施しやすくするために教室群の介入中に簡易運動を実施したが,介入後の簡易運動の実施頻度は,訪問群の方が多かった。簡易運動には,多種目運動と同等の介入効果があり,種目数が2種目と少なく,数分でできるというメリットから,教室後の運動プログラムとして,その経済性が期待された。しかし,教室群では,1人で実施しなければならないという興味性の問題から,訪問型のように高い実施頻度を定着させることができなかったと考えられる。したがって,教室介入後に簡易運動を用いることは運動継続にあまり有効ではないことが示唆された。
キーワード 高齢者,訪問型運動指導,教室型運動指導,運動継続