論文
第69巻第2号 2022年2月 認知症グループホームの施設特性と
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目的 2018年度の介護報酬の改定より認知症グループホームにおいて「栄養スクリーニング加算」が新設され,利用者個々人の低栄養状態のリスクを把握することが制度化された。しかし,どのような施設特性を持つ認知症グループホームで栄養スクリーニング加算の算定割合が高いのか明らかでなかった。本研究の目的は,認知症グループホームの施設特性として特に併設サービスの種類に着目し,併設サービスの種類と栄養スクリーニング加算算定との関連について検討することである。
方法 日本全国の認知症グループホームから無作為抽出(3割)された施設を対象として2020年6月に郵送による自記式質問紙調査を実施した。説明変数に併設サービスの種類(「病院・診療所」「介護保険施設」「居宅介護支援事業所」)を,アウトカム変数に栄養スクリーニング加算算定の有無を用い,ロジスティック回帰分析で多変量調整オッズ比と95%信頼区間を算出した。共変量には,事業主体,ユニット数,要介護4以上の利用者の割合を用いた。
結果 解析対象1,289施設のうち,栄養スクリーニング加算を算定していた施設は9.5%であった。併設サービスについて,「なし」の群を基準とした場合の粗オッズ比は,病院・診療所,介護保険施設,居宅介護支援事業所のいずれでも「あり」の群で有意に高かったが(オッズ比の範囲:1.60~3.13),共変量をモデルに含めた場合(多変量調整モデル)では3つすべての併設サービスにおけるオッズ比に有意な差はみられなかった(オッズ比の範囲:1.22~1.49)。しかし併設サービスの組み合わせのパターンとして,「3つすべてなし」の群を基準とした場合の多変量調整オッズ比は,「3つすべてあり」で2.63(95%信頼区間:1.20,5.76)と有意に高かった。
結論 同一法人の併設サービスとして「病院・診療所」「介護保険施設」「居宅介護支援事業所」があることが栄養スクリーニング加算算定の促進因子であることが示唆された。
キーワード 介護保険,認知症グループホーム,施設特性,栄養スクリーニング加算,栄養管理