論文
第69巻第5号 2022年5月 男性看護師における女性患者へのケアや
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目的 本研究の目的は,男性看護師における女性患者へのケアや職場内外の人間関係と働きやすさとの関連を検討することとした。
方法 対象者は一般社団法人日本男性看護師会の会員で,臨床看護師として病院で働いている男性看護師とした。調査方法はウェブアンケートで,2017年8~9月に会員ウェブサイトを通じて実施した。アンケートでは,対象の属性,働きやすさ,女性患者へのケア,職場内外の人間関係について尋ねた。各調査項目について集計し,「女性患者へのケア・職場内外の人間関係」と「働きやすさ」のクロス集計を行った。
結果 アンケート回答者は104人で,平均年齢(標準偏差)35.1歳(7.3),平均臨床経験年数(標準偏差)11.2年(6.3),既婚者66.3%であった。所属診療科は,一般病棟が最も多く51.0%,次いで,ICU・救急外来/救急病棟・手術室が28.8%であった。女性患者からケアを断られたことがある人は87.5%,男性看護師であることから女性看護師にケア交代を頼んだことがある人は97.1%,女性患者とのコミュニケーションに不安を感じる人は11.5%,信頼関係を築きにくいと感じている人は10.6%であった。女性が多数の中で孤独を感じる人は28.9%,職場内外を問わず相談できる人は92.3%であった。女性患者へのケアと働きやすさとの関連では,「男性看護師がケアを行うことに対して,女性患者が嫌がっているのではないか」と思う人ほど,働きにくいと回答する傾向があった。職場内外の人間関係と働きやすさとの関連では,「職場の看護師同士の関係」が良好ではないと回答した人は,働きにくいと回答する傾向があった。
結論 男性看護師の多くは女性患者にケアを断られた経験があるが,女性患者とのコミュニケーションや信頼関係の構築での困難感は少なかった。また,女性患者に対するケアと働きやすさ,職場内外の人間関係と働きやすさに関連がみられた。今後は,女性患者に対してケアの困難さがある場合でも,職場環境によって働きやすさが変わるのか,これらの要因の組み合わせによる相互の関連性を,さらに検討する必要がある。
キーワード 男性看護師,働きやすさ,アンケート調査,患者-看護師関係,職場内外の人間関係