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論文記事:がん診療連携拠点病院等の指定要件に関する調査 202206-03 | 一般財団法人厚生労働統計協会|国民衛生の動向、厚生労働統計情報を提供

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第69巻第6号 2022年6月

がん診療連携拠点病院等の指定要件に関する調査

力武 諒子(リキタケ リョウコ) 渡邊 ともね(ワタナベ トモネ) 山元 遥子(ヤマモト ヨウコ)
市瀬 雄一(イチノセ ユウイチ) 新野 真理子(ニイノ マリコ) 松木 明(マツキ メイ)
太田 将仁(オオタ マサト) 坂根 純奈(サカネ ジュンナ) 伊藤 ゆり(イトウ ユリ)
東 尚弘(ヒガシ タカヒロ) 若尾 文彦(ワカオ フミヒコ)

目的 がん診療連携拠点病院等が定められてから20年が経ち,がん診療連携拠点病院等の指定要件項目となっているもののうち,現在のがん医療においての均てん化,集約化すべき項目の整理の必要性が求められている。指定要件項目は各施設から提出される年1回の現況報告で要件の確認が行われている。今回は,それだけでは知り得ない実態や指定要件に対する意見を施設より聴取し,均てん化,集約化すべき項目を明らかにし,今後の指定要件項目等の検討へ提言することを目的とした。

方法 全国のがん診療連携拠点病院等の施設長宛にアンケートを郵送で送付し(2021年5月24日~7月31日),回答を依頼した。アンケートでは,①現行の指定要件各項目に対して,全施設で必要か,一部の施設で必要か,②指定要件各項目に対して,充足・確保可能か困難か,困難な場合には代替要件,③指定要件各項目への意見聴取,④行政や地域等との連携の実施の有無,⑤拠点病院のあるべき姿について調査した。新型コロナウイルス感染症感染拡大(以下,コロナ禍)による影響や現状についても併せて調査した。回答は全体と機能別に集計した。

結果 がん診療連携拠点病院等451施設中256施設(回収率56.8%)から回答が得られた。一部の施設で必要との回答が多かった項目については,既に充足困難であると多くの施設で回答していた項目が多い結果となった。「長期フォローアップの小児がん患者の支援体制」や「AYA世代患者の支援」に関する項目で,より充足困難であるという回答が多かった。コロナ禍により影響を受けた項目は,通常対面で行われていた患者会の実施やカンファレンス,医療者研修などが主であり,オンライン開催への移行が進められているものの,普及過程であったと考えられる。機能別では,都道府県がん診療連携拠点病院ではどの項目も高い割合で充足可能であった。行政,地域,その他との連携については,地域との連携が最も多く実施されていた。就学支援や院内学級の設置等の小児支援を実施している施設は少なかった。

結論 がん診療連携拠点病院等の指定要件項目による意見聴取を行い,均てん化,集約化すべきと考えられる項目が明らかとなり,各施設の現況報告では今まで明らかになることのなかった現況やコロナ禍による影響が明らかになった。

キーワード がん診療連携拠点病院,指定要件,現況報告,均てん化,集約化

 

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