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論文記事:サルコペニアとBMIの効果量に関するメタ分析 202208-02 | 一般財団法人厚生労働統計協会|国民衛生の動向、厚生労働統計情報を提供

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論文

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第69巻第8号 2022年8月

サルコペニアとBMIの効果量に関するメタ分析

澤田 奈々実(サワダ ナナミ) 今川 海沙(イマガワ ミサ) 沖野 ひより(オキノ ヒヨリ)
鈴木 佑奈(スズキ ユウナ) 橋本 泰央(ハシモト ヤスヒロ)
上田 由喜子(ウエダ ユキコ) 小塩 真司(オシオ アツシ)

目的 サルコペニアの有無によるBMIの平均値差をメタ分析によって明らかにすることを目的とした。

方法 J-STAGE, PubMedから1,600本の論文を収集した。そこから①大学紀要を除く査読付き論文かつ原著論文であり,②言語が日本語または英語で書かれており,③サルコペニアの有無とBMIとの関連を検討した論文であり,④サルコペニアの有無の2群に分かれており,それぞれBMIのデータがあり,かつ④European Working Group on Sarcopenia in Older People(EWGSOP)の診断基準に基づき,数値が2項目以上当てはまる論文16本を分析対象とした。効果量には標準化されたBMIの平均値差を用い,変量モデルを採用した。効果量の異質性はQ統計量で計測し,対象者の性別,国籍ごとに分析を行った。Egger法を用いて公表バイアスの有無を検定した。

結果 非サルコペニア群とサルコペニア群の比較(22件)では,サルコペニア群は非サルコペニア群よりも有意にBMIが高く(d=0.71,95%信頼区間(以下,95%CI)[0.45,0.98],p<0.001),この結果は性別で分類してもおよそ同じ傾向であった(男性d=0.73,95%CI[0.21,1.24],p<0.01;女性d=0.53,95%CI[0.24,0.06],p<0.005)。また,男女混合の研究についても有意な効果量がみられ(d=0.89,95%CI[0.50,1.27],p<0.001),日本(d=0.94,95%CI[0.58,1.30],p<0.001)と,それ以外の国(d=0.43,95%CI[0.16,0.11],p<0.01)に分けた場合も変わらなかった。効果量は日本の方が大きく,日本以外の国の方が小さい傾向がみられた。研究全体の異質性は高いことが確認された。公表バイアスが結果に及ぼす影響はいずれも小さいと考えられた。

結論 非サルコペニア群に比べ,サルコペニア群はBMIが高かった。このことから,BMIの高さとサルコペニアのリスクには関連があることが示唆された。

キーワード サルコペニア,BMI,メタ分析,効果量,論文,公表バイアス

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