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論文記事:日本の都市高齢者の援助行動と被援助志向性 202209-01 | 一般財団法人厚生労働統計協会|国民衛生の動向、厚生労働統計情報を提供

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第69巻第11号 2022年9月

日本の都市高齢者の援助行動と被援助志向性

-よこはまシニアボランティアポイント制度登録者における検討-
澤岡 詩野(サワオカ シノ) 渡邉 大輔(ワタナベ ダイスケ)
中島 民恵子(ナカジマ タエコ) 大上 真一(オオガミ シンイチ)

目的 日本の都市高齢者のボランティア活動とソーシャルサポートネットワークと,被援助志向性の関連を明らかにすることを目的とした。既になんらかのボランティア活動を行っている高齢者の分析を行うために,シニアボランティアポイント制度の登録者を対象とした。

方法 神奈川県横浜市の介護予防施策「よこはまシニアボランティアポイント制度」の登録者を対象として,2017年10月~12月末日に郵送法による自記式のアンケート調査を行った。このうち,分析に用いる変数に欠損がない1,024人を対象に分析を行った。被援助志向性を明らかにするために,被援助志向性を構成する2つの因子「援助に対する欲求」と「援助に対する抵抗感」それぞれについて,2つの援助要請対象「身近な他者」と「公的な他者」に関する4つの質問項目に対し5件法で尋ねた。これらの被援助志向性4項目それぞれを従属変数とし,重回帰分析を行った。

結果 ①男性よりも女性が「身近な他者」からも「公的な他者」からも「援助に対する抵抗感」をもっていること,②女性では「身近な他者」からの「援助に対する欲求」でボランティア活動の頻度の影響が認められ,活動しているほどに欲求も高いこと,③男性では「身近な他者」からの「援助に対する抵抗感」にボランティア活動の影響が認められ,活動しているほどに抵抗感が高いこと,④加えて受領可能と認識する情緒的サポートネットワークの種類が多いほどに抵抗感も高くなることが示された。

結論 一般高齢者よりも援助志向の高いことが考えられるボランティアポイント制度登録者においても被援助志向性に影響を与える要因は男女で異なることや,「援助をうけることへの欲求がある一方で,他者からの援助をうけることに抵抗を感じる」といった相反する感情が内在する人の存在を明らかにした本研究は重要な知見を提示するものといえる。今後は,男女の違いや相反する感情が内在する人の存在を前提にして支援策を検討することが求められる。

キーワード 援助行動,被援助志向性,ボランティア活動,都市高齢者

 

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