論文
第69巻第11号 2022年9月 訪問看護師の属性が地域連携促進に与える要因分析大木 正隆(オオキ マサタカ) 浅海 くるみ(アサウミ クルミ) |
目的 訪問看護師の属性が地域連携促進に与える関連要因を,統計的手法を用いて明らかにすることである。
方法 東京都の訪問看護ステーションに所属する訪問看護師875名に,郵送法無記名自記式質問紙調査を実施した。調査期間は,2017年10月~同年12月,分析対象は,711名(有効回答率81.2%)である。
結果 訪問看護師の属性で医療介護福祉の地域連携尺度の得点差を分析した結果(Mann-WhitneyのU検定),訪問看護師の年齢(50~70代),臨床経験年数(18年以上),訪問看護経験年数(5年以上),役職(主任+管理者),夜間・休日オンコール経験(あり),勤務形態(常勤),ケアマネジャー資格(あり)の群が医療介護福祉の地域連携尺度の得点が有意に高かった(p<0.05)。さらに訪問看護師の属性を説明変数,医療介護福祉の地域連携尺度を目的変数としたロジステック回帰分析を実施した結果,医療介護福祉の地域連携尺度には,訪問看護経験年数(5年以上,オッズ比(OR):2.644,95%信頼区間(95%CI):1.791~3.903),役職(主任+管理者,OR:1.683,95%CI:1.065~2.659)が有意に関連した。
結論 訪問看護師の属性の視点から地域連携を促進していく上では,特に訪問看護経験年数,役職に着目することが重要である。
キーワード 訪問看護,地域連携,地域包括ケアシステム,訪問看護経験年数,役職