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論文記事:「特定行為に係る看護師の研修制度」指定研修機関の研修体制の実態 202301-04 | 一般財団法人厚生労働統計協会|国民衛生の動向、厚生労働統計情報を提供

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論文

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第70巻第1号 2023年1月

「特定行為に係る看護師の研修制度」
指定研修機関の研修体制の実態

長谷川 直人(ハセガワ ナオト) 村上 礼子(ムラカミ レイコ) 八木 街子(ヤギ マチコ)
春山 早苗(ハルヤマ サナエ) 江角 伸吾(エスミ シンゴ) 

目的 「特定行為に係る看護師の研修制度(以下,特定行為研修)」の指定研修機関の研修体制の実態を明らかにし,効率的に研修修了者を輩出する研修提供体制を検討する。

方法 2020年2月時点で特定行為研修を行うすべての指定研修機関,191施設に対してインターネット上での無記名のアンケート調査を実施した。調査項目は,指定研修機関の概要,研修の受講期間と受け入れ方法,研修の受講状況,指定研修機関の構成員と業務内容,研修を円滑に運営するための工夫,運営上の財源や会計とし,理由や内容を問う項目は選択肢を準備して複数回答可とした。

結果 66施設(34.6%)から回答が得られ,すべてを有効回答とした。研修開始から修了までの受講期間は60施設(90.9%)が6カ月以上1年半未満で,おおよそ1年に渡って受講生を教育していた。研修開始時から調査時までの受講者の総数の平均は25.6±46.6名(最大273名,最小2名)で33施設(50.0%)が10名以下であった。研修修了者の総数は,平均13.6±28.9名(最大205名,最小0名)で,47施設(71.2%)が10名以下であった。2019年度の総修了者数を総応募数で除した修了率について,最も高値であったのは栄養及び水分管理に係る薬剤投与関連70.8%,最も低値であったのは皮膚損傷に係る薬剤投与関連21.1%で,21区分中15区分が50%未満であった。総修了者数を総定員数で除した輩出率も同様の傾向で,12区分が50%未満であった。研修指導者について専従のスタッフ数は0.7±1.0名(最大4名)で,配置しているのは28施設(42.4%)であった。また,専任として正規雇用している研修指導者がいる施設は43施設(65.2%)で平均3.4±6.4名(最大36名),専任として定期雇用している研修指導者がいる施設は5施設(7.6%)で平均0.2±0.8名(最大6名)であった。収支差額の平均は-188.8±582.8万円で,収支に回答が得られた64施設中33施設(51.6%)が赤字での運営であった。

結論 2015年の研修制度開始から5年間の研修体制の全体概要を把握した結果,研修修了率と輩出率の向上,多様な研修提供体制に応じたテーラーメイド支援の充足の2つの課題が挙げられた。今後は,教育の質保証や効率的な研修体制について検討する機会の増加,指定研修機関の教育・運営状況の知見の蓄積,研修修了率と輩出率向上のための具体的な課題とその要因の明確化,専従や専任の構成員の人件費を増加させる柔軟な補助金等の支援が必要であると考える。

キーワード 特定行為に係る看護師の研修制度,指定研修機関,研修体制,実態調査

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