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論文記事:認知症高齢者の日常生活自立度を用いた健康余命の全国二次医療圏での算出 202302-01 | 一般財団法人厚生労働統計協会|国民衛生の動向、厚生労働統計情報を提供

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論文

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第70巻第2号 2023年2月

認知症高齢者の日常生活自立度を用いた
健康余命の全国二次医療圏での算出

後藤 悦(ゴトウ エツ) 愼 重虎(シン ジュンホ)
中部 貴央(ナカベ タカヨ) 今中 雄一(イマナカ ユウイチ)

目的 認知症施策推進大綱では共生とともに認知症の予防の推進が重視されている。予防の取り組みの進捗評価のために,地域ごとにその実態を把握する指標が必要である。そのための指標の開発を目指し,要介護認定に用いられる認知症高齢者の日常生活自立度を基準とした健康寿命(以下,認知症自立余命)を算出し,地域差の図示を行うことを目的とした。

方法 人口は住民基本台帳,死亡数は人口動態調査,認知症高齢者の日常生活自立度別人数は厚生労働省より提供された「要介護認定情報・介護レセプト等情報」の特別抽出による2015~2017年のデータを用い,厚生労働科学研究健康寿命サイト掲載の計算方法を使用し認知症自立余命を算出した。2018年時の全国の二次医療圏(一部,介護保険者)ごとに,男女別0歳時から85歳時まで5歳ごとに日常生活自立度1以上,2以上,3以上の期間を健康でない期間としてそれぞれの認知症自立余命を算出した。本研究はその中から0,40,65歳時に注目した。

結果 認知症高齢者の日常生活自立度が2以上の期間を健康でない期間とした0,40,65歳時の2017年における認知症自立余命の平均値(標準偏差)はそれぞれ,男性で78.97(0.92)年,39.94(0.79)年,17.33(0.55)年,女性で83.14(0.71)年,43.72(0.65)年,20.05(0.60)年であった。

結論 本研究の認知症自立余命は,毎年一年を通じて大規模に得られるデータに基づき,より客観的な判定基準である認知症高齢者の日常生活自立度を基準としており,全国各地域での認知症の状況や,自立的に生活できる余命の把握に役立つであろう。認知症高齢者の日常生活自立度は,1はほぼ自立であり3以上は該当者が少なく計算結果が安定しないため,2以上の期間を健康でない期間として健康余命(認知症自立余命)を計算することが望ましいと考える。また,40歳時~50歳時の健康余命(認知症自立余命)は,生活習慣病の予防に早期対応できる年齢層であるため,有力な指標として提案する。そして認知症自立余命は,各地域の認知症関連施策の成果の進捗評価に有用であると考える。

キーワード 認知症,健康寿命,認知症高齢者の日常生活自立度,地域差,介護DB

 

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