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論文記事:自治体における保育士の離職意思に影響する要因と業務負担軽減および離職防止策に関する実態 202303-01 | 一般財団法人厚生労働統計協会|国民衛生の動向、厚生労働統計情報を提供

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論文

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第70巻第3号 2023年3月

自治体における保育士の離職意思に影響する要因と
業務負担軽減および離職防止策に関する実態

宮本 絢子(ミヤモト アヤコ) 白神 敬介(シラガ ケイスケ)

目的 近年,各地方自治体では保育士確保が大きな課題となっており,多くの自治体で様々な取り組みが行われているが,現場保育士の負担や離職は増加傾向にある。そこで,本研究では,自治体の保育主管課を対象に,保育士の離職要因に加え,業務負担軽減および離職防止策に関する調査を実施した。特に,2020年以降のコロナ禍において,全国的に保育計画(行事)を再考する動きが増えた社会背景を踏まえ,保育主管課が認識する保育士の離職要因や業務負担軽減および離職防止策を整理すること,さらに自治体の規模による比較検討と,コロナ禍以前から保育計画(行事)の見直しを進めていた自治体に関する検討の3点から分析を進める。

方法 政令指定都市等の大都市と人口5万人以下の小都市を含む計105の自治体の保育主管課を対象に2021年9月から12月に質問紙調査を行い,得られたデータを分析した。主な調査内容は,自治体の基本情報,コロナ禍前後を含む行事の実施状況,正規保育士の離職要因,業務負担軽減および離職防止策に関する事項である。

結果 保育士の離職意思に影響する要因については,「人間関係の困難感」が多く選択された。このことは,都市の規模や,保育計画(行事)の変更の検討時期がコロナ禍以前か以後かには関係なく認められた。業務負担軽減および離職防止策については,保育所のICT化は大都市で顕著であったものの,全体でみると「事務・雑務の改善」や「就労時間(時間外労働)の改善」が半数を超え,「保育所の職員間でのコミュニケーションの改善」は,半数以下であった。

結論 結果より,「人間関係の困難感」を主要な離職要因と捉える傾向が確認されたが,これに対する保育の業務負担軽減および離職防止策の割合は低い傾向が見いだされた。このことから,保育主管課においては働き方改革の推進や業務の効率化といった制度的環境の整備に比重が置かれている実態があると考えられる。また,本調査の結果では,保育士を調査した先行研究とは異なり,離職意思に影響する要因として「行事の大変さ」や「家に持ち帰る仕事の大変さ」を選択した自治体はほとんどなかった。このことは,保育の業務負担に対する保育主管課と現場保育士の考えの相違を示唆している。

キーワード 保育計画,保育主管課,公立保育所,保育士の業務負担,離職防止,コロナ禍

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