論文
第70巻第3号 2023年3月 主任介護支援専門員の事業所内における役割-管理者の重要度と実行度の認識から-三橋 優介(ミハシ ユウスケ) |
目的 本研究では,居宅介護支援事業所(以下,事業所)の主任介護支援専門員の事業所内における役割に着目し,重要性の認識の度合い(重要度)と,実行している度合い(実行度)の実態と相互の関係を構造的に分析することにより,現状を明らかにすることを目的とした。
方法 福岡県の事業所のうち,特定事業所加算Ⅰ~Ⅲを算定している526件を抽出し,そこに所属する管理者を調査対象とした。質問紙の項目は,①調査対象者の基本属性,②事業所内の役割に関する18項目の重要度と実行度,③地域の役割に関する13項目の重要度と実行度等であった。調査方法は無記名自記式質問紙を用いた郵送調査とし,調査期間は2021年3月1日から4月30日までであった。
結果 送付数526件のうち,有効回答数は276件(回収率52.5%)であった。質問項目では,重要度と実行度の双方において「事業所内の介護支援専門員が担当しているケースの,事業所内における情報共有」「事業所内の介護支援専門員が担当しているケースの,管理者への報告」「担当介護支援専門員が不在時の,他の介護支援専門員による対応」「事例検討会の開催」が高値を示した。また,重要度と実行度の間には強い相関関係が認められた。
結論 主任介護支援専門員の事業所内における役割として,事業所内の情報共有に基づいた支援を重視し,かつ実行していることが明らかになった。また,事例検討会の開催についても重要度・実行度は高く,事例検討会を通した介護支援専門員の資質向上を重視し,かつ実行していることが示唆された。さらに,事業所内の役割における重要度と実行度の高さは相互に関連していることが示された。
キーワード 居宅介護支援事業所,主任介護支援専門員,事業所内における役割,重要度,実行度