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論文記事:チーム医療が医療の効率性に及ぼす影響 202303-03 | 一般財団法人厚生労働統計協会|国民衛生の動向、厚生労働統計情報を提供

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論文

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第70巻第3号 2023年3月

チーム医療が医療の効率性に及ぼす影響

-看護職チームの連携に対する認識度合いの分析から-
藤谷 克己(フジタニ カツミ) 鈴木 里砂(スズキ リサ) 谷口 優(タニグチ ユウ)
市川 香織(イチカワ カオリ) 松下 博宣(マツシタ ヒロノブ) 

 

目的 本研究では,医療機関における看護職のチーム医療の認識度合いについて計量的評価を行い,医療の効率性に対する影響を調べることを目的とした。わが国では多職種連携を一般にチーム医療と呼ぶことが多く,今回は看護という同職種内での連携を中心に,多職種連携協働の実態に対する認識の程度を計測することにより,多職種連携協働の醸成度を評価し,チーム医療の連携醸成度合いと医療の効率性の関係を調査対象とした。

方法 本研究では,評価指標としてAITCS-Ⅱ-J(Assessment of Inter-professional Team Collaboration Scale-Ⅱ-J AITCS日本語版)を用いた。また医療の効率性に関わる評価指標は,DiNQL(Database for improvement of Nursing Quality and Labor)データを使用し,調査項目については,病床回転率,平均在院日数,ADL改善率とした。調査はA医療施設で働く全職種を対象として行った。調査データの収集はウェブ経由で行い,期間は2019年4月15日から同年5月17日までであった。

結果 AITCS-Ⅱ-Jの総得点の平均値(±標準偏差)は,81.3±1.0であった。AITCS-Ⅱ-Jのサブスケール得点では,パートナーシップが28.7±0.4,協力が29.5±0.5,調整が23.2±0.4であった。信頼性に関しては,AITCS-Ⅱ-Jのクロンバックのα係数は0.933であった。また病床回転率の平均値(±標準偏差)は2.9±0.1,平均在院日数が11.9±0.3,ADL改善率が45.1±1.2であった。

結論 本研究の結果から,AITCS-Ⅱ-Jのサブスケールであるパートナーシップ得点が高いほど,医療の効率性指標である病床回転率が上がり,かつ平均在院日数が有意に短縮されることが明らかになった(それぞれβ=0.232,p=0.007,β=-0.306,p=0.001)。具体的には,患者の要望に耳を傾ける行動,ケアプラン作成には患者や家族と一緒になって行う行動を含む多職種連携を推進,醸成することにより平均在院日数が短縮されることが示唆された。

キーワード 多職種連携,AITCS-Ⅱ-J,医療の効率性,病床回転率,平均在院日数,ADL改善率

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