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論文記事:特定機能病院の36協定で定める医師の延長労働時間 202304-02 | 一般財団法人厚生労働統計協会|国民衛生の動向、厚生労働統計情報を提供

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論文

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第70巻第4号 2023年4月

特定機能病院の36協定で定める医師の延長労働時間

三隅 達也(ミスミ タツヤ)

目的 医師の約4割が年約960時間,約1割が年約1,920時間以上の時間外・休日労働を行っている実態がある。医師の労働時間縮減のため,2024年4月以降,医師に異なる水準の労働時間規制が設けられる。本研究の目的は,それまでに2年を切った時点における全国すべての特定機能病院の最新の時間外・休日労働に関する協定届(以下,36協定)で定める医師の特別延長時間等を明らかにし,それが医師の労働実態にどの程度沿っているかを明らかにすることである。

方法 すべての特定機能病院から労働基準法(以下,法)の適用外となる1施設を除く86施設を調査対象とした。2022年5月14日付けの行政文書開示請求書を各都道府県労働局へ郵送し,各施設から2021年度および2022年度に届け出された36協定を開示請求した。

結果 36協定なしは1施設(1.2%),1年単位の原則または特別延長時間の長い方が一般労働者の特別延長時間の上限の720時間以下は30施設(34.9%),720時間を超え一般の医療機関の医師に適用されるA水準の960時間以下は34施設(39.5%),960時間を超え特定地域医療提供機関の医師に適用されるB水準等の1,860時間以下は20施設(23.3%),1,860時間超は1施設(1.2%)であった。

結論 結果は医師の労働実態に照らして過少である。これは法違反の常態化および36協定の形骸化を示唆する。特定機能病院であってもその約7割はB(特定地域医療提供機関)・連携B(連携型特定地域医療提供機関)・C-1(技能向上集中研修機関)・C-2(特定高度技能研修機関)水準に特定されることを希望しないことが予想される。

キーワード 労働基準法,36協定,労働時間規制,医師,特定機能病院

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