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論文記事:DPCデータを用いた福岡県の二次医療圏別にみたがん医療の現状分析 202306-03 | 一般財団法人厚生労働統計協会|国民衛生の動向、厚生労働統計情報を提供

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論文

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第70巻第6号 2023年6月

DPCデータを用いた福岡県の二次医療圏別にみた
がん医療の現状分析

宮﨑 裕也(ミヤザキ ユウヤ) 石原 礼子(イシハラ レイコ)

目的 厚生労働省が公表しているがん診療連携拠点病院等の整備指針では,二次医療圏に1カ所の地域がん診療連携拠点病院を整備することが望ましいとされている。本研究では,福岡県の二次医療圏別にみたがん医療の現状を明らかにし,福岡県での今後のがん医療の在り方や課題について考察することを目的とした。

方法 厚生労働省が公表している令和元年度退院患者調査を用い,福岡県の二次医療圏別の患者推計値を求め,流入流出患者数を算出する。その後,主要な6つのがんについて,二次医療圏別の手術の有無別患者数を求め,患者推計値との比較を行った。また,4診療圏に集約した場合についても同様に比較を行った。

結果 胃がん,肺がん,大腸がん,子宮がん,肝がんでは,9の医療圏で患者数が患者推計値を下回る結果となった。また,乳がんでは,11の医療圏で患者数が患者推計値を下回る結果となった。4診療圏別での比較では,筑豊診療圏で,大腸がん,子宮がん,乳がん,肝がんの患者数が患者推計値を大きく下回っていた。

結論 福岡県は,全国に比べてすべてのがんの人口10万人当たりの入院患者数は多いが,がん医療は二次医療圏で完結しているとは言い難い結果であった。また,4診療圏で比較しても,筑豊診療圏では他診療圏への流出がみられたため,少子高齢化の進展や核家族化の進展,高齢者の移動能力,治療と仕事の両立を考慮すると,筑豊診療圏に属する直方・鞍手医療圏には,地域がん診療病院の設置,もしくは外来でのがん治療の充実を図る必要があると考える。しかし,がん医療の現状を把握するためには,経時的な変化を観察していく必要があり,また,地域の実情に基づいたがん医療の在り方を今後さらに研究していく必要があると考えた。

キーワード DPC,がん医療,二次医療圏

 

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