論文
第70巻第7号 2023年7月 日常生活に制限のない期間の
川戸 美由紀(カワド ミユキ) 橋本 修二(ハシモト シュウジ) |
目的 健康日本21(第二次)で利用される「日常生活に制限のない期間の平均」(以下,健康寿命)について,健康状態の測定対象を居宅者から医療機関の入院者と介護保険施設の在所者への拡大および計算の最終年齢階級を85歳以上から95歳以上へ変更することによる,2010~2019年の指標値の変化を検討した。
方法 基礎資料として国民生活基礎調査,簡易生命表,患者調査,介護サービス施設・事業所調査と人口を,算定方法として健康日本21(第二次)での算定方法(標準の算定方法)を,測定対象と最終年齢階級をそれぞれ上記のとおり変更した算定方法を用いた。
結果 2010年の健康寿命について,標準の算定方法の男性70.42年と女性73.62年に対して,測定対象を変更すると男性-0.76年と女性-1.10年,最終年齢階級を変更すると男性-0.05年と女性-0.14年の変化であった。2010年と2019年の健康寿命の年次差について,標準の算定方法の男性2.26年と女性1.76年に対して,測定対象と最終年齢階級を変更しても0.1年未満の変化であった。
結論 2010~2019年の健康寿命は測定対象の変更に伴ってかなり低下し,最終年齢階級の変更に伴って若干低下したが,年次差はほとんど変化しなかった。健康日本21(第二次)の健康寿命の目標達成の評価結果には測定対象と最終年齢階級の変更がほとんど影響しないことが確認された。
キーワード 健康寿命,算定方法,日常生活に制限のない期間の平均,国民生活基礎調査,健康日本21(第二次)