論文
第70巻第7号 2023年7月 住民主体の活動を促す行政保健師行動評価尺度の開発岩本 真弓(イワモト マユミ) |
目的 地区活動において住民主体の活動を促す行政保健師の行動評価尺度(以下,行政保健師行動評価尺度)を開発し,信頼性・妥当性を検討することを目的とした。
方法 住民主体の活動が地域づくりに発展している好事例に関わる行政保健師を対象に半構造的面接法によるインタビュー調査から抽出した48項目を文献と照合し,専門家調査による項目の精選,内容妥当性を確認した41項目を使用した。行政保健師行動評価尺度開発のための本調査は,2県62市町村の保健師610人を対象に郵送による質問紙調査を実施した。調査期間は2022年5~6月である。調査内容は,基本情報,行政保健師行動評価尺度案,パートナーシップ構築プロセス評価尺度である。
結果 200名の有効回答(回答率32.8%)を分析対象とした。行政保健師行動評価尺度案41項目の項目分析にて回答に偏りがみられた9項目を除いた32項目について探索的因子分析を行った結果,「情報提供・発信」「地域の人材育成」「ネットワーク構築」「協働事業における進行管理」の4因子21項目から構成され,尺度全体のCronbachのα信頼係数は0.93,構成概念妥当性については,構造方程式モデリングによる確認的因子分析で検証を行った結果CFI=0.916,RMSEA=0.067となり,信頼性と妥当性が検証された。
結論 開発された,住民主体の活動を促す行政保健師の行動を4因子,21項目で評価する行政保健師行動評価尺度について,一定の信頼性・妥当性が確認され,住民とともに地域特性に応じた新たな価値を創り出す内容を包含した行政保健師の特徴的な行動を評価することが可能になったと考えられる。
キーワード 住民主体の活動,行政保健師,地区活動,行動評価尺度