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論文記事:民生委員が抱える役割ストレスに関する短縮版尺度の開発 202307-04 | 一般財団法人厚生労働統計協会|国民衛生の動向、厚生労働統計情報を提供

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論文

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第70巻第7号 2023年7月

民生委員が抱える役割ストレスに関する短縮版尺度の開発

飛田 和樹(ヒダ カズキ) 斉藤 雅茂(サイトウ マサシゲ)

目的 本研究では,民生委員が抱える役割ストレスに関する短縮版尺度を開発し,その妥当性を検証することを目的とした。

方法 首都圏大都市のA市B区において,地域特性や地区の民生委員定数等を考慮して抽出した7地区の民生委員計153名を対象に質問紙調査を実施した。質問紙は101件回収(回収率66.0%),性別無回答の1件を除き100件を有効回答とした(有効回答率65.4%)。杉原による民生委員の役割ストレスに関する尺度について,Item-Total相関分析,探索的因子分析(最尤法,プロマックス回転)により短縮版項目を抽出した。抽出された項目群についてクロンバックのα係数を確認し,基準関連妥当性として民生委員の活動継続意欲と援助成果との相関関係を確認した。調査対象者の基本属性による役割ストレスの差異について,対応のないt検定および一元配置分散分析で確認した。

結果 本研究では短縮版尺度として,7項目版(クロンバックのα=0.800)および3項目版(クロンバックのα=0.677)を開発した。原版12項目のなかで,「責任の範囲がはっきりしていない」「何が期待されているのかわからない」「十分な情報や援助がないのに仕事を割り当てられる」「意味がないと思われることを行政から割り当てられる」「行政や関係機関からの依頼事項が多い」という5項目が原版12項目の総得点と強い相関関係が確認された(r=0.603~0.753)。7項目版と3項目版のいずれも,活動継続意欲(r=-0.507,-0.511)や援助成果(r=-0.409,-0.445)に原版と同等以上の相関関係が確認された。調査対象者が54歳以下の若年層,70歳以上の高年齢層で役割ストレスが低い傾向にあり,60~64歳の役割ストレスが最も高かった(原版12項目:P=0.031,7項目版:P=0.042,3項目版:P=0.061)。

結論 本研究による短縮版尺度を活用して民生委員が抱える負担感を適時・適切にモニタリングすることで,各地域での支援方針や重点的な介入策を検討する一助になり得ると考える。

キーワード 民生委員・児童委員,役割ストレス,短縮版尺度

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