論文
第70巻第8号 2023年8月 簡易生命表における平均寿命の延びの寄与年数への分解首藤 陽平(シュトウ ヨウヘイ) 安川 学(ヤスカワ マナブ) |
目的 簡易生命表においては,平均寿命の前年からの延びに対する死因別寄与年数を公表し,その算定方法を報告書に掲載している。そこで,本論文では,2つの生命表間の平均寿命の差を要因別寄与年数へと分解する手法の一般論を解説し,令和3年簡易生命表における死因別・死亡月別寄与年数への分解結果を解説する。
方法 平均寿命の前年からの延びを,まず年齢階級別の寄与年数へと分解した後,それらをさらに死因別・死亡月別に加法分解することで行列展開し,それを死因・死亡月ごとに足し上げることで要因別寄与年数を求めた。
結論 令和3年簡易生命表における平均寿命の前年からのマイナスの延びの要因別寄与年数をみると,死因別でみると「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)」等がマイナスに寄与し,死亡月別でみると12月においてプラス幅が,また,5月においてマイナス幅が最も大きく寄与したことがわかった。
キーワード 簡易生命表,平均寿命,死因,死亡月,要因分解,寄与