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論文記事:高年齢介護助手における職業性ストレスおよびソーシャルサポートと情緒的消耗感の関連 202309-02 | 一般財団法人厚生労働統計協会|国民衛生の動向、厚生労働統計情報を提供

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論文

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第70巻第11号 2023年9月

高年齢介護助手における職業性ストレスおよび
ソーシャルサポートと情緒的消耗感の関連

馬 盼盼(マ ハンハン) 相良 友哉(サガラ トモヤ) 杉浦 圭子(スギウラ ケイコ)
高瀬 麻以(タカセ マイ) 中本 五鈴(ナカモト イスズ) 六藤 陽子(ムトウ ヨウコ)
東 憲太郎(ヒガシ ケンタロウ) 藤原 佳典(フジワラ ヨシノリ) 村山 洋史(ムラヤマ ヒロシ)

目的 本研究は介護の補助職として働く高年齢介護助手の情緒的消耗感と職業性ストレスおよびソーシャルサポートとの関連を明らかにすることを目的とした。
方法 2020年度の「介護老人保健施設等における業務改善に関する調査研究事業」の高年齢介護助手調査データを使用し,全国の599施設に勤める1,601名の高年齢介護助手の回答を解析した。この調査では,60歳以上の介護助手を高年齢介護助手と定義した。情緒的消耗感は,日本版バーンアウト尺度の下位尺度を用いた。職業性ストレスは,新調査票職業性ストレス簡易調査票から,「仕事の量的負荷」「仕事の質的負荷」「身体の負担」「仕事のコントロール」「職場の一体感」を用いた。ソーシャルサポートはサポートの種類(情緒的・情報的・評価的・手段的サポート)とサポート源(上司・同僚・家族・友人のサポート)を尋ねた。解析は,情緒的消耗感を従属変数とし,職業性ストレス,ソーシャルサポートを説明変数とした重回帰分析を行った。
結果 対象者は,女性が66.7%,平均年齢が68.4±4.7歳であった。情緒的消耗感得点は,8.98±3.71であった。重回帰分析の結果,職業性ストレスでは,仕事の量的負担(β=0.226,p<0.001),仕事の質的負担(β=0.089,p=0.002),身体の負担(β=0.114,p<0.001)の得点が高いほど情緒的消耗感の得点が有意に高く,職場の一体感(β=-0.210,p<0.001)の得点が高いほど,情緒的消耗感の得点が有意に低かった。ソーシャルサポートでは,サポートの種類の評価的サポート(β=-0.092,p=0.008),サポート源の同僚のサポート(β=-0.100,p<0.001)と家族のサポート(β=-0.063,p=0.016)の得点が高いほど,情緒的消耗感の得点が有意に低かった。
結論 高年齢介護助手の情緒的消耗感の予防や軽減には,業務量や内容が適切かどうかのモニタリング,一体感のある職場環境の創出,高年齢介護助手の仕事を適切に評価する関係性の構築,そして,職員同士が支え合える体制や家族からの支援が得られるように仕事について十分理解してもらうことが重要である。
キーワード 高年齢介護助手,情緒的消耗感,職業性ストレス,業務負担,ソーシャルサポート

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