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論文記事:子育て世代包括支援センターの認知度と利用状況 202311-02 | 一般財団法人厚生労働統計協会|国民衛生の動向、厚生労働統計情報を提供

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論文

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第70巻第13号 2023年11月

子育て世代包括支援センターの認知度と利用状況

-こども家庭センター設置に向けた考察-
植田 紀美子(ウエダ キミコ)

目的 2022年6月の児童福祉法等の一部を改正する法律により,子育て世代包括支援センターと子ども家庭総合支援拠点が統合し,「こども家庭センター」を設置することですべての妊産婦,子ども,子育て世帯への一体的な相談支援が強化される。現在,全市区町村の9割を超える自治体で設置されている子育て世代包括支援センターの認知度と利用状況,利用者の特性を調査し,こども家庭センターを広く普及していくための基礎資料とすることを目的とした。

方法 (株)クロス・マーケティング保有の「長子・末子・出産月」のスペシャルパネルを用いて,2021年度において3歳以下の子どもをもつ母親に無作為にアンケートを配信し,無記名自記式のオンラインアンケート調査を実施した。子育て世代包括支援センターの認知度と利用状況について,記述統計により基本属性に基づき整理し,認知度や利用状況が基本属性によって差がないか,妊娠期の利用状況と出産後の利用状況の関係をχ2検定により統計学的に比較した。

結果 母親866名から回答を得た。子育て世代包括支援センターを知っている者は66.9%で,そのうち,52.5%が知っているが利用していなかった。大都市に居住している方が,無職の方が,また,祖父母と同居している方が子育て世代包括支援センターを知らなかった。66.9%が母子健康手帳取得のための利用,26.2%が妊娠期に妊娠,出産,子育てについての相談利用,37.8%が出産後の子育てについての相談利用であった。子育て世代包括支援センターで妊娠期に積極的に相談していた者は,出産後も継続利用していることが明らかとなった。

結論 2017年に子育て世代包括支援センターが法定化され,その後に出生した子どもをもつ母親を対象に,子育て世代包括支援センターの認知度,利用状況,利用者の特性を整理することができた。今後,設置されるこども家庭センターが広く利用されるためには,人口規模に応じた周知の工夫や,職域での情報入手がない無職層への情報発信が重要であること,また,妊娠期からの丁寧な関わりにより出産後も子育て支援をより継続できることが示唆された。今後,設置されるこども家庭センターの妊娠期からの子育て支援推進の基礎資料になると考える。

キーワード 子育て世代包括支援センター,こども家庭センター,子育て支援,児童虐待予防,実態調査,児童福祉法

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