論文
第70巻第15号 2023年12月 健康保険組合における特定保健指導の実施率・改善率と
|
目的 健康保険組合の共通評価指標のデータを用いて,被保険者の構成など被保険者の属性による影響を考慮したうえで,保険者による保健事業の実施状況および効果と,加入者全体の健康状態(内臓脂肪症候群該当者割合)との関係を明らかにすることを目的とした。
方法 第2期データヘルス計画の中間評価においてデータヘルス・ポータルサイトに共通の評価指標を入力した845組合を分析対象とした。共通の評価指標5指標のうち,特定保健指導実施率(実施率)および「特定保健指導による特定保健指導対象者の減少率」(改善率)の高低により組合を4群に分類し,4群間での内臓脂肪症候群該当者割合の違いを比較した。群間比較においては,共分散分析により加入者数の対数,被保険者の男性割合,被保険者の平均年齢,特定健康診査実施率を共変量として調整したうえで比較した。
結果 特定保健指導の実施率と改善率の間には有意な相関は認められなかった。実施率および改善率のそれぞれが高いほど内臓脂肪症候群該当者割合は有意に低い結果であった。
結論 実施率(量)を上げることと改善率(質)を上げることは独立の要素であり,内臓脂肪症候群該当者割合を減少させるためには,特定保健指導の実施率と改善率いずれも上げていくことの必要性が示唆された。
キーワード 内臓脂肪症候群,特定保健指導実施率,特定保健指導による特定保健指導対象者の減少率,共通評価指標,データヘルス