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論文記事:医育機関に勤務する医師の従たる従事先に関する研究 202401-01 | 一般財団法人厚生労働統計協会|国民衛生の動向、厚生労働統計情報を提供

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論文

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第71巻第1号 2024年1月

医育機関に勤務する医師の
従たる従事先に関する研究

 

寺裏 寛之(テラウラ ヒロユキ) 小谷 和彦(コタニ カズヒコ) 小池 創一(コイケ ソウイチ)

目的 医師の偏在解消と労働環境の改善は喫緊の課題である。昨今,働き方改革関連法が成立し,医師の労働時間の上限規制が設けられた。病院で働く医師は,主たる従事先とは別に従たる従事先を有する場合がある。労働時間は主たる従事先と従たる従事先とで通算されるため,働き方改革により従たる従事先の就労環境に影響を与える可能性がある。医育機関は,教育の役割の他に地域医療の現場への医師供給の役割もあると考えられている。本研究では,病院または医育機関の医師の従たる従事先に関して実態を明らかにした。

方法 2018年の医師・歯科医師・薬剤師統計(3師統計)で病院に常勤し診療を主業務とする,臨床研修医を除いた医師(n=157,426)を対象とした。はじめに,対象者を医育機関の医師と医育機関以外の病院(以下,それ以外の病院)の医師とに分類し,従たる従事先を有する医師の属性や従たる従事先を保有する割合を比較した。次に全国の3次医療圏(都道府県単位)を各都道府県の医師確保計画にある医師偏在指標による分類に従って,医師多数県,医師中程度県,医師少数県の3つに分類し,主たる従事先と従たる従事先の医療圏に関して比較検討した。また,医師多数県の医育機関の医師が医師少数県を従たる従事先にした場合の主たる従事先と従たる従事先との都道府県の移動に関する図を作成した。

結果 従たる従事先を有する医師の割合は医育機関(44.9%)のほうがそれ以外の病院(11.5%)と比較して有意に高かった。主たる従事先が医師多数県で従たる従事先が医師少数県である医師の割合は,医育機関(17.1%)のほうがそれ以外の病院(9.8%)よりも高かった。医育機関の医師の従たる従事先が病院である割合はそれ以外の病院よりも高かった。すべての医師少数県は医師多数県に所在する医育機関の医師の従たる従事先であった。

結論 医育機関の医師は従たる従事先を有する割合がそれ以外の病院よりも高く,従たる従事先は病院である割合が高かった。医師多数県にある医育機関の医師は医師少数県を従たる従事先にすることで医師を供給する役割を担っていることが示唆された。

キーワード 医師偏在,医育機関,医師・歯科医師・薬剤師統計,医師届出票,従たる従事先

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