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論文記事:一地域における救急搬送自傷例の性・年齢階級・重症度・曜日別発生数の分析 202401-02 | 一般財団法人厚生労働統計協会|国民衛生の動向、厚生労働統計情報を提供

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論文

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第71巻第1号 2024年1月

一地域における救急搬送自傷例の性・年齢階級
・重症度・曜日別発生数の分析

牧瀬 香穂(マキセ カホ) 影山 隆之(カゲヤマ タカユキ) 岩崎 香子(イワサキ ヨシコ)

目的 自殺未遂者には自殺企図再発のリスクが高いが,適切な支援を提供すればこのリスクを下げられる。そのためには警察・消防・救急医療機関・精神医療・地域保健福祉等の連携が重要である。連携体制の検討にあたり,自殺未遂が多発する季節・曜日・時間帯を知るために,119番通報があった自傷例の性・年齢階級別発生数,自傷行為手段と重症度の関連,季節・曜日・時間帯と自傷例発生数との関連を検討した。

方法 大分市で2018~2020年に発生した自傷例の資料を消防局から入手し,集計分析した。

結果 通報があった自傷例は同じ期間の自殺死亡者の2.4倍で,その1割は死亡しており,他方3分の1は搬送されず受診していなかった。未遂例には20歳代女性が多かった。不搬送未遂例には死亡例・重症事例と同様に致命率の高い自傷手段がみられ,かつ月曜の発生が多かった。これ以外は未遂例の発生に季節性や曜日による差が小さく,深夜の発生は少なかった。

結論 不搬送未遂例には救急搬送の必要がなくても,生きる上で深刻な問題を抱え「死ぬ意図」が強かった事例が含まれる可能性があるので,救急隊と地域保健福祉行政との連携の必要がなかったか検討する必要がある。地域保健福祉行政から退院前の未遂者に接触して支援を始めるとすれば,多発日を想定する必要はないが休日の対応体制が課題であり,救急医療機関や転院先と地域保健福祉行政との連携手順をはじめ,消防・警察・搬送先医療機関・地域保健福祉行政・精神科医療機関等が連携して未遂者を支援する体制を構築する必要がある。そのために,自殺企図に至る背景,精神科受療歴,搬送先での在院日数,退院後の転帰等について,医療機関ベースでの情報収集も必要である。

キーワード 自殺未遂,救急搬送,救急医療機関,重症度,自傷手段,地域保健福祉

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