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論文記事:既婚女性の家事分担・就業に対する規範意識と現実の就業行動 202401-05 | 一般財団法人厚生労働統計協会|国民衛生の動向、厚生労働統計情報を提供

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論文

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第71巻第1号 2024年1月

既婚女性の家事分担・就業に対する
規範意識と現実の就業行動

塚原 康博(ツカハラ ヤスヒロ)

目的 本研究では,既婚女性の家事分担・就業に対する規範意識と現実の就業行動についての実証分析を行い,規範意識の実態と規範意識が現実の就業行動に与える影響を検証した。

方法 全国の核家族世帯に属する男女を対象に調査を行い,そこから得られたデータを使用し,単純集計,クロス集計,多項ロジスティック回帰による分析を行った。

結果 第1に,専業主婦の規範は,核家族においてほとんど共有されておらず,回答者の3割は,家事に支障がない範囲で,妻が働くのがよい(妻に対する消極的就業規範)と考えており,回答者の約6割は夫婦で家事を分担してでも,妻が働くのはよい(妻に対する積極的就業規範)と考えていた。第2に,家事に支障があるのであれば,夫と分担して,妻が働くのはよいという考えをもっているものの,実際には妻が専業主婦であるという回答者の割合が30.7%存在していた。この割合を男女別で分析すると,男性が26.7%,女性が33.9%であり,女性のほうが希望(意向)を満たされていなかった。第3に,妻の就業の形態の選択については,妻本人よりも夫の意向が反映されていた。

結論 回答者のほとんどは,妻の就業をよいと考えていた。しかし,そのような希望(意向)に反して,妻が専業主婦の地位にある回答者も一定数存在した。そして,妻の現実の就業選択においては,妻本人よりも夫の意向が反映されていた。これは,夫婦間のエンパワーメントにおけるジェンダー平等の観点からは,1つの問題提起とみなされるであろう。

キーワード 既婚女性の就業,家事分担,規範意識,ジェンダー平等

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