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論文記事:主任介護支援専門員による地域の介護支援専門員への支援 202404-04 | 一般財団法人厚生労働統計協会|国民衛生の動向、厚生労働統計情報を提供

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論文

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第71巻第4号 2024年4月

主任介護支援専門員による
地域の介護支援専門員への支援

-管理者の重要度と実行度の認識から-

三橋 優介(ミハシ ユウスケ)

目的 本研究では,居宅介護支援事業所(以下,事業所)の主任介護支援専門員による地域の介護支援専門員への支援に着目し,支援の重要性の認識の度合い(重要度)と,実行している度合い(実行度)を比較し,それらの差異を構造的に分析することにより,支援の現状を明らかにすることを目的とした。

方法 福岡県の事業所のうち,特定事業所加算Ⅰ~Ⅲを算定している526件を抽出し,そこに所属する管理者を調査対象とした。調査方法は無記名自記式質問紙を用いた郵送調査とし,有効回答数は276件(回収率52.5%)であった。分析は地域の介護支援専門員への支援に関する13項目の重要度と実行度について点数化を行い,平均値と標準偏差を求めた。さらに,重要度と実行度の平均値について相関係数を推定し,散布図により両者の関係を考察した。分析に際してはMicrosoft Excelを使用した。

結果 重要度の平均値は「事例検討会の開催」が3.33と最も高く,次いで「研修会の開催」が3.27と高い値を示した。一方,実行度の平均値は重要度と同様に「事例検討会の開催」が2.76と最も高く,次いで「研修会の開催」が2.44と高値を示していた。平均値の範囲は,重要度が2.66~3.33,実行度が1.58~2.76であった。また,13項目の重要度と実行度の平均値をプロットしたところ,「重要度・実行度がともに高いグループ」「重要度・実行度がともに低いグループ」の2つのグループに分けられた。相関係数は0.92であり,両者の間にはかなり強い相関関係が認められた(P<0.001)。

結論 重要度の平均値は2.66~3.33の範囲,実行度の平均値は1.58~2.76の範囲に広がり,両者の間には相関係数0.92という相関関係が認められ,重要度の値は実行度の値と密接にかかわっていることが示された。また,「重要度・実行度がともに高いグループ」では「事例検討会の開催」「研修会の開催」が特に高い値を示していた。2018年度の介護報酬改定により他の法人が運営する事業所と共同で事例検討会・研修会を開催することが特定事業所加算の算定要件となっており,それによって地域の介護支援専門員への支援に関する活動が促進されたことが示唆された。

キーワード 居宅介護支援事業所,地域,主任介護支援専門員,介護支援専門員への支援,重要度,実行度

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