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論文記事:入院した心不全患者を対象とした軽症例における救急車利用状況および#7119導入効果の検討 202405-04 | 一般財団法人厚生労働統計協会|国民衛生の動向、厚生労働統計情報を提供

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論文

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第71巻第5号 2024年5月

入院した心不全患者を対象とした軽症例における
救急車利用状況および#7119導入効果の検討

-DPCデータベースを利用した全国調査-

宮﨑 大輔(ミヤザキ ダイスケ) 桵澤 邦男(タラサワ クニオ)

伏見 清秀(フシミ キヨヒデ) 藤森 研司(フジモリ ケンジ)

目的 本研究の目的は,入院した心不全患者を対象に,軽症例における救急車利用と#7119導入状況の地域差および#7119が軽症例における救急車利用に与える効果を明らかにすることである。

方法 2019年4月から2022年3月までのDiagnosis Procedure Combinationデータベースを用いた。まず,地方単位で軽症例における救急車利用割合を算出し,その差を記述した。本研究において,軽症例は入院2日以内に酸素投与がなかった患者と定義した。また,政府統計から抽出した都道府県ごとの65歳以上人口に基づいて上位23都道府県と下位24都道府県の2群に分類し,#7119導入割合を比較した。そして,次に述べる2つの方法で#7119導入と軽症例における救急車利用との関連を分析した:①本研究の観察期間中に#7119を導入した都道府県について,前後比較を実施した。②導入都道府県と非導入都道府県でそれぞれ軽症例における救急車利用割合を記述した。

結果 日本全国の136,410人の心不全患者が分析の対象となった。地方単位の集計の結果,北海道地方,関西地方,中国地方で軽症例における救急車利用割合が高くなっていた。また,65歳以上人口上位23都道府県群で#7119の導入が多くなっていることが明らかになった。#7119導入の前後比較の結果,24時間府内全域導入した京都府では導入前と比較して導入後で軽症例における救急車利用割合が統計学的に有意に減少していた。24時間県内一部導入した岐阜県と山口県では,統計学的な有意差はなかったものの減少がみられた。非24時間県内全域導入した徳島県では,統計学的な有意差はないが増加がみられた。さらに,#7119導入都道府県と非導入都道府県で軽症例における救急車利用割合を記述したところ,非導入都道府県と比較して導入都道府県でその割合が高くなっていた。これは,非導入都道府県と導入都道府県には地域の背景因子に違いがあり,この2群の比較可能性が乏しいことを示唆している。

結論 24時間#7119導入した地域では,導入後に軽症例における救急車利用割合が減少していた。特に24時間府内全域導入した京都府では統計学的に有意な減少がみられたため,24時間および都道府県内全域をカバーできるような体制を整備し,#7119の導入を進めていくべきである。

キーワード 救急車,心不全,DPCデータベース,#7119

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