論文
第71巻第6号 2024年6月 外国人介護人材の異文化適応が
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目的 外国人介護人材を対象とし,異文化適応が「職業定着に係る意思」に対して与える影響について明らかにすることを目的とした。
方法 東北地方・北陸地方の養成施設への聞き取り調査をもとに,同養成施設を卒業後に介護福祉施設で働く外国人154人を調査対象として2022年12月~2023年2月に無記名自記式質問紙による郵送調査を実施し,有効回答は70人(有効回答率45.5%)であった。分析方法は主に重回帰分析を行い,基本属性,職務満足度ならびに異文化適応変数の心理的適応,社会文化的適応を独立変数,「職業定着に係る意思」を示す短期定着意思,長期定着意思を従属変数とした。
結果 重回帰分析を行った結果,短期定着意思に対しては母国看護師資格有無,心理的適応,社会文化的適応が,長期定着意思に対しては配偶者有無,心理的適応が統計学的に有意な結果を示した(p<0.05)。
結論 本結果から,異文化適応が「職業定着に係る意思」へ一定の影響を与えることが示された。異文化適応は「職業定着に係る意思」へ影響を与える重要な要因として外国人介護人材の職業定着の課題であることが本結果より明らかになった。
キーワード 異文化適応,職業定着,キャリア形成,外国人介護人材,養成施設