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論文記事:高齢者向け住まいと介護サービス種類別の給付割合との関連 202407-01 | 一般財団法人厚生労働統計協会|国民衛生の動向、厚生労働統計情報を提供

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論文

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第71巻第7号 2024年7月

高齢者向け住まいと介護サービス種類別の給付割合との関連

-都道府県データを用いた検証-

河合 美千代(カワイ ミチヨ) 福島 喜代子(フクシマ キヨコ)

目的 高齢者向け住まい(サービス付き高齢者向け住宅と住宅型有料老人ホーム(以下,住宅型有料)の第1号被保険者1人当たりの定員数(定員率)と介護サービス種類別の給付割合との関連を都道府県データを用いて検討することを目的とした。

方法 2021年度の介護保険事業状況報告(年報)のデータを用いて都道府県別の介護サービス種類別の給付割合を把握し,高齢者向け住まいの定員率との相関を分析する。さらに主成分分析により,高齢者向け住まいの定員率と介護サービス種類別の給付割合との関連を分析する。

結果 特別養護老人ホーム(以下,特養)の給付割合と高齢者向け住まいの定員率との間に負の相関がみられ,特養の給付割合が少ない府県で高齢者向け住まいの定員率が高かった。また,高齢者向け住まいの定員率と居宅サービスの給付割合に正の相関がみられ,高齢者向け住まいの定員率が高くなるほど,訪問介護と通所介護の合計給付割合が多くなっていた。さらに,主成分分析で得られた第2主成分では住宅型有料と特養が最も遠い位置にあり,住宅型有料重視型と特養重視型の都道府県にグループ分けされた。

結論 特養の給付抑制を図った府県において,高齢者向け住まいの定員率の増加があり,居宅給付の増大が付随して起こっていることが示唆された。地域包括ケアシステムの推進を目的に住み慣れた地域で安心して暮らすことを可能とする高齢者向け住まいの拡充が進められており,その結果,居宅給付の増大が一部で起こっている可能性がある。これらの動向が保険者の介護保険財政にどのような影響を与えているかについては,今後の検証が必要である。

キーワード 高齢者向け住まい,サービス付き高齢者向け住宅,住宅型有料老人ホーム,介護保険サービス,地域間格差

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