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論文記事:HPVワクチンキャッチアップ接種意向の関連要因 202408-03 | 一般財団法人厚生労働統計協会|国民衛生の動向、厚生労働統計情報を提供

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論文

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第71巻第8号 2024年8月

HPVワクチンキャッチアップ接種意向の関連要因

-若年成人女性を対象としたインターネット調査-

今井 美和(イマイ ミワ) 荒勢 りら(アラセ リラ) 加藤 玲音(カトウ レネ)
羽生 心愛(ハブ ココア) 亀田 幸枝(カメダ ユキエ)

目的 日本では2022年4月から2025年3月までの3年間限定で,ヒトパピローマウイルス(human papillomavirus;HPV)ワクチンの定期接種の機会を逃した1997~2005年度生まれの女性を対象に,無料で接種できる‘キャッチアップ接種事業’が開始された。本研究では,この接種事業対象者のうち1997~2004年度生まれで接種したことがない若年成人女性(19~26歳)において,接種意向のタイプ別の関連要因を特定することを目的とした。

方法 研究デザインは横断的研究である。無記名のインターネット調査を2023年6~8月に行った。調査項目(年齢,パートナーの有無,職業,出身学校,接種行動と意向,子宮頸がん・HPVワクチン・子宮頸がん検診に関する知識と態度,検診受診行動と意向,未接種理由)は健康信念モデルに基づき作成された。対象者494人の接種行動については,1回以上接種した者201人(40.7%),接種の有無が不明な者30人(6.1%),未接種者263人(53.2%)で,本研究では未接種者のみを分析対象とした。1年以内の接種意向のタイプについては,「接種しようと思う」と回答した接種意向が高い受容群と接種意向が低い躊躇群とし,躊躇群を「接種を迷っている」と回答した未定群と「接種しようと思わない」と回答した拒否群に層別した。二項ロジスティック回帰分析を用いて,受容群と未定群,受容群と拒否群における接種意向の関連要因をそれぞれ分析した。

結果 受容群66人(25.1%),躊躇群197人(74.9%)で,未定群,拒否群はそれぞれ130人(49.4%),67人(25.5%)であった。受容群と未定群における接種意向の関連要因として,知識量は促進要因,[副反応が心配]の障害性の認識,未接種理由が‘副反応が心配’は抑制要因であった。受容群と拒否群の場合は,知識量は促進要因,会社員,未接種理由が‘副反応が心配’,未接種理由が‘身近な人の反対’は抑制要因であった。なお,接種意向のタイプにかかわらず未接種者の6割以上はキャッチアップ接種無料期間に期限があることを知らなかった。また,接種意向が低い者でも8割以上が接種の有益性を認識していると同時に,[副反応が心配]と認識し,‘副反応が心配’が未接種理由で最も多かった。接種意向のタイプにかかわらず8割が[接種が面倒]の障害性を認識し,‘面倒’が未接種理由の2番目に多かった。

結論 キャッチアップ接種事業を効果的に展開するには,接種意向のタイプに基づいて推進方法を考える必要がある。

キーワード 子宮頸がん,HPVワクチン,キャッチアップ接種,横断的研究,健康信念モデル,接種意向

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