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論文記事:未就学児をもつ親における子育て経験とレジリエンスの関連 202408-04 | 一般財団法人厚生労働統計協会|国民衛生の動向、厚生労働統計情報を提供

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論文

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第71巻第8号 2024年8月

未就学児をもつ親における
子育て経験とレジリエンスの関連

 

上野 雄己(ウエノ ユウキ) 平野 真理(ヒラノ マリ)

目的 これまでにレジリエンスへの介入や発達が注目されながらも,子育て経験を通した親自身のレジリエンスの形成や影響について検討されてこなかった。そこで,本研究では未就学児をもつ親を対象とした,子育て経験とレジリエンスの関連を明らかにすることを目的とした。

方法 調査は2021年9月に行い,分析対象者は第1子が1~5歳の未就学児をもつ日本人1,701名(男性788名,女性913名;平均年齢36.2歳,標準偏差4.7歳,範囲30~49歳)であった。分析対象項目はレジリエンスと子育て経験(「子どもに対する知識・スキル」「子育てに関する内省」「子どもとの関係」「子育てほめられ経験」),交絡要因として,社会的人口統計学的要因と子育て状況であった。

結果 レジリエンスの資質的要因と獲得的要因を目的変数,子育て経験の4種類と交絡要因(社会人口統計学的要因,子育て状況)を説明変数とした,多変量重回帰分析を行った。分析の結果,子育て経験の子どもに対する知識・スキルと子育てほめられ経験,子どもとの関係は資質的要因と獲得的要因に対し正の関連を示した。一方でレジリエンスの種類によっても違いがみられ,資質的要因に対し子育て省察が負の関連,獲得的要因では対場面的省察が正の関連を示した。

結論 以上の結果から,子どもを適切に理解し知識・スキルを高めることや,子どもを通し自身のことを内省すること,子育てにおいて他者からの肯定的な評価を経験すること,子どもとの良好的な関係を築くといった子育て経験が高い人々ほど,レジリエンスが高いことが明らかとなった。またレジリエンスの種類や子育て経験の種類の組み合わせによって変数間の関係が異なり,子育ての中で経験されるさまざまな出来事を通して,個々人のレジリエンスが形成される可能性が示唆された。

キーワード レジリエンス,子育て経験,未就学児をもつ親

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