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論文記事:ACPの準備教育としてのデスカフェの可能性 202412-03 | 一般財団法人厚生労働統計協会|国民衛生の動向、厚生労働統計情報を提供

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論文

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第71巻第14号 2024年12月

ACPの準備教育としてのデスカフェの可能性

-一般高齢者を対象としたデスカフェ介入研究-

萩原 眞由美(ハギワラ マユミ) 藤田 幸司(フジタ コウジ)
柴田 博(シバタ ヒロシ) 新開 省二(シンカイ ショウジ)

目的 アドバンス・ケア・プランニング(ACP)の必要性が高まっているものの,一般には未だ広まっていない。本研究では,死を自分事として語れるようになる場としてデスカフェに着目し,ACPの準備教育としてのデスカフェの可能性を明らかにすることを目的とした。

方法 東京都板橋区高島平団地区域の高齢者41名をランダムに4組に分け,2022年9月~2023年6月の10カ月間に,前半,後半それぞれ2組ずつ,各5カ月間にわたり月1度のデスカフェを開催した。期間中に両群とも計3回の自記式質問紙調査を行い,デスカフェ参加前後における,WHO-5-J,臨老式死生観尺度,高齢者版スピリチュアリティ健康尺度の値について対応のある2群の比較試験を行い,ACPの経験・必要性について単純比較を行った。

結果 3回とも回答のあった32名(男性4名,女性28名。平均年齢74.2歳(標準偏差12.9歳))を解析対象者とした。デスカフェ参加による変化には,臨老式死生観尺度の「解放としての死」「人生における目的意識」および高齢者版スピリチュアリティ健康尺度の「生きる意味・目的」「他者との調和」に因子得点の上昇がみとめられた。また親や家族などの死について「誰か」と話した人が19名から24名に,「家族」と話した人が17名から20名に増え,自分の死について話した人は「誰か」とが19名から20名に,「家族」とが17名から18名であった。期間中に実際に人生会議を行ってみたという人は1名のみであった。

結論 ACPの実践につながると考えられる意識変化と,わずかではあるがACPへの準備行動と評価できる行動変容を確認した。今後,医療・介護からの一方的な働きかけだけでなく,デスカフェのように当事者主体で「生と死」を一緒に考える機会(プログラムや活動)を地域の中に広めることが大切である。

キーワード ACP,人生会議,デスカフェ,地域高齢者,死生観,スピリチュアリティ

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