論文
第72巻第1号 2025年1月 野菜と果物を継続的に毎日摂取する食行動と
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目的 本研究は中高年期の地域住民を対象に,野菜と果物を継続的に毎日摂取する食行動が,6年後の循環器病の予防に関連するかを検討し,中高年期の地域住民の循環器病の予防対策の根拠を得ることとした。
方法 25府県に在住する健康事業に参加経験のある9,508人を対象として,2013年に自記式調査票を郵送し(回収率45.7%),2019年まで計3回調査を行った。分析対象者は,継続回答者3,345人から第1回調査時の70歳以上1,939人,死亡27人,循環器病(脳卒中20人・心臓病79人)の治療者を除き,分析に使用する回答に欠損のない60~69歳1,050人(女性50.8%)とした。調査開始時,3年後,6年後ともに,野菜を「毎日食べる」と回答した者を「野菜毎日摂取継続」とし,果物を「毎日食べる」と回答した者を「果物毎日摂取継続」と規定した。そのうち3時点ともに両方を「毎日食べる」と回答した者は,「野菜と果物毎日摂取継続」とした。それ以外の者は「毎日摂取継続以外」とした。6年後の循環器病(脳卒中・心臓病)の治療をアウトカムとし,調整変数を調査開始時の年齢,性別,循環器病の発症に関連があるとされているBMI区分,高血圧,高脂血症,喫煙,糖尿病として,野菜と果物を継続的に毎日摂取する食行動との関連をロジスティック回帰分析で検討した。
結果 「野菜と果物毎日摂取継続」は25.5%,「野菜毎日摂取継続」25.2%,「果物毎日摂取継続」6.8%,「毎日摂取継続以外」42.5%であった。6年後の循環器病治療者は,64人(6.1%)であった。多変量解析において,「毎日摂取継続以外」の者に比べて「野菜と果物毎日摂取継続」(調整オッズ比,95%信頼区間:0.48,0.23-0.99)および「野菜毎日摂取継続」(0.41,0.19-0.87)は,6年後の循環器病の予防に有意な関連を示した。「果物毎日摂取継続」(0.37,0.11-1.28)は,有意な関連は示さなかった。
結論 野菜と果物の毎日摂取を継続する食行動は,中高年期の地域住民の6年後の循環器病予防に関連し,循環器病の予防対策の根拠となり得ることが示された。特に野菜について,地域住民が継続して毎日摂取する食行動を支援する仕組みづくりが必要である。
キーワード 野菜,果物,食行動,循環器病,縦断研究