論文
第72巻第2号 2025年2月 高校生を対象とした
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目的 本研究では,高校生の妊娠・出産・育児に関する意識と,それに関連する要因を明らかにすることを目的とした。
方法 福島県内の一高校の生徒を対象に行われたライフプラン教室での調査データを用いて,二次分析を行った。アンケート回収率は93.4%であり,そのうち将来の妊娠・出産・子どもの世話に関する項目および性別の回答者387人のデータを分析対象とした。男女別に層別解析を行い,将来の妊娠・出産・子どもの世話に関する3項目間の関連と,各項目と3つの個人特性(精神健康度,健康度自己評価,学校生活への満足度)との関連をみるために,χ2検定を用いた。複数の個人特性と関連を示した場合には,多変量解析にロジスティック回帰分析を用いた。
結果 男女ともに子どもの世話,出産,妊娠についての意識は相互に有意な関連があった。女性においては多変量解析の結果,学校生活に満足していることが子どもの世話を楽しみにしていることに(p=0.024),健康度自己評価が高いこと(p<0.001)と学校生活に満足していること(p=0.035)が出産の自信に関連していた。男性においては,健康度自己評価が高いことが子どもの世話を楽しみにしていること(p=0.007)と出産の自信(p=0.028)に有意に関連していた。
結論 高校生の出産の自信と子どもの世話を楽しみにしている意識には,学校生活に満足していることと健康度自己評価が高いことが関連していたことから,高校生のライフプランにおいてはウエルビーイングが重要な基盤となっていることが示唆される。
キーワード 思春期,性教育,生活の質,健康度自己評価