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論文記事:地域在住高齢者の運動教室における スクエアステップの達成度が体力変化に与える影響 201602-05 | 一般財団法人厚生労働統計協会|国民衛生の動向、厚生労働統計情報を提供

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第63巻第2号 2016年2月

地域在住高齢者の運動教室における

スクエアステップの達成度が体力変化に与える影響

 

神藤 隆志(ジンドウ タカシ) 藤井 啓介(フジイ ケイスケ) 北濃 成樹(キタノ ナルキ)

角田 憲治(カクタ ケンジ) 大藏 倫博(オオクラ トモヒロ)

目的 現在,地方自治体が主催する介護予防事業の一つとして運動器の機能向上プログラム(以下,運動教室)が全国各地で盛んに行われており,高齢者の体力の維持・向上に一定の成果をあげている。本研究では,介護予防運動としての有効性が報告され,運動教室の主運動課題として普及が進んでいるスクエアステップを取り上げ,参加者のスクエアステップのステップパターンの達成度が運動教室前後の体力変化に与える影響を検討した。

方法 対象は要支援・要介護認定を受けていない地域在住高齢者33名(69.7±3.6歳,男性4名)であった。スクエアステップを主運動課題とした週1回,1回90分,全11回の運動教室を行い,スクエアステップの達成度の評価として対象者が3カ月間で達成した総ステップパターン数を調査した。体力は平衡性(開眼片足立ち時間),筋力(5回椅子立ち上がり時間),起居移動能力(TUG;Timed Up and Go),歩行能力(5m通常歩行時間),反応性(全身選択反応時間)を評価した。認知機能の評価にはファイブ・コグ検査を用いた。達成度の最頻値を基準に対象者を3群に分け,3群間の体力変化の違いを2要因分散分析により検討した。なお,運動教室前の値に群間の有意差が認められた場合は,その値を共変量に投入した共分散分析を行った。

結果 3カ月間のスクエアステップ実践により達成されたステップパターン数は61.9±11.4パターンであり,達成度の上位群が中位群,下位群と比べて認知機能が有意に高かった(p<0.05)。3群間の体力変化の違いを比較したところ,開眼片足立ち時間において3群間に有意な交互作用が認められ(p<0.05),上位群においてのみ有意な向上が認められた。運動教室前の値で調整するとこの交互作用は消失し,3群における有意な時間の主効果のみ認められた(p<0.05)。この他に3群において有意な時間の主効果が認められた項目は,TUG,全身選択反応時間であった(p<0.05)。

結論 3カ月間の運動教室においてスクエアステップの達成度が高かった者は,運動教室前の認知機能が高かった。一方で,達成度にかかわらず平衡性,起居移動能力,反応性などの体力が向上したことから,スクエアステップは個人に合った難度のステップパターンに取り組むことで,体力への効果が見込める運動課題であることが示唆された。

キーワード 運動教室,Square-Stepping Exercise,身体機能,認知機能

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