論文
第62巻第15号 2015年12月 介護支援専門員によるインフォーマル・サポート活用に影響を与えるケアマネジメント実践の検討橋本 力(ハシモト チカラ) 岡田 進一(オカダ シンイチ) 白澤 政和(シラサワ マサカズ) |
目的 本研究では,介護支援専門員によるインフォーマル・サポート活用に影響を与えるケアマネジメント実践について明らかにすることを目的とした。
方法 東京都,横浜市,名古屋市,大阪市,神戸市の居宅介護支援事業者のうち,800カ所を無作為に抽出し,各事業者につき1名,計800名の介護支援専門員を対象とした。調査方法は,自記式調査質問紙を用いた無記名の郵送調査を行った。調査票の回収数は379通,回収率は47.4%であった。分析方法として強制投入法による重回帰分析を用いた。この分析では,介護支援専門員によるインフォーマル・サポート活用を3つの合成変数として算出した「家族の活用」「近隣・友人の活用」「地域のインフォーマル団体等の活用」を従属変数とし,関連要因として想定した性別,年齢,経験年数,情報把握や情報収集に関わる合成変数を独立変数とした。
結果 「家族の活用」では,「家族に関する情報把握」(β=0.362)および「要援護者の支援時における多方面からの情報収集」(β=0.234)が,それぞれ0.1%水準で有意な関連を示した。「近隣・友人の活用」では,「近隣・友人に関する情報把握」(β=0.514)が,0.1%水準で有意な関連を示した。「地域のインフォーマル団体等の活用」では,「地域のインフォーマル団体等に関する情報把握」(β=0.363)および「地域のインフォーマル団体等との交流」(β=0.342)が,それぞれ0.1%水準で有意な関連を示した。
結論 インフォーマル・サポートの活用においては,アセスメントでのインフォーマル・サポートに関する情報把握が有効であることが明らかとなった。介護支援専門員は,アセスメントにおいてインフォーマル・サポートの情報を的確に把握することで,その活用につなげていくことが求められる。また,家族から支援の協力を得る際は,家族の情報把握に加え,多方面からの情報収集が有効であることが明らかとなった。介護支援専門員は,他職種のワーカーや以前のサービス記録,また家族本人など,多方面からの情報を収集することで,家族の状況を正確に理解し,その上で,支援の協力を求めていくことが必要である。さらに,地域のインフォーマル団体等に関しては,インフォーマル団体等との交流が,その活用に影響を与えていることが明らかとなった。介護支援専門員は,活用の可能性が期待できる地域のインフォーマル団体等に関しては定期的な交流を行っていくことが求められる。
キーワード 介護支援専門員,ケアマネジメント,インフォーマル・サポート活用,アセスメント