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論文記事:手術室看護師の特性的自己効力感,領域固有の自己効力感に関する研究 201511-03 | 一般財団法人厚生労働統計協会|国民衛生の動向、厚生労働統計情報を提供

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第62巻第13号 2015年11月

手術室看護師の特性的自己効力感,
領域固有の自己効力感に関する研究

平 尚美(タイラ ナオミ) 柏木 公一(カシワギ キミカズ) 小澤 三枝子(オザワ ミエコ)

目的 自己効力感とは,ある結果を見いだすための行動を自分はどの程度うまく行うことができるかの確信である。高い自己効力感はストレスを緩衝し,看護師の職業継続意思に関連する。自己効力感には,特定の課題や場面に特異的に影響を及ぼす「領域固有の自己効力感(SSE)」と,具体的な状況に依存せず,より一般化した日常生活場面における行動に影響する「特性的自己効力感(GSE)」の2つがある。本研究の目的は,手術看護に関する領域固有の自己効力感を測定する尺度を開発することと,特性的自己効力感と領域固有の自己効力感が手術室勤務継続意思に及ぼす影響を明らかにすることである。

方法 特定機能病院31施設の手術室に勤務する看護師・准看護師1,206名を対象に無記名自記式質問紙調査を行った。調査内容は「特性的自己効力感」「領域固有の自己効力感」「手術室勤務継続意思」「自己効力感に関連する因子」などである。調査票の配布は看護部に依頼し,郵送で回収した。

結果 回収数628(回収率52.1%)のうち,有効回答618名(51.2%)を分析対象とした。手術看護に関する領域固有の自己効力感5項目のクロンバックのα係数は0.87で内的整合性を確認した。また特性的自己効力感6項目を合わせた11項目で因子分析を行った結果,2因子に分かれ弁別的妥当性を確認した。特性的自己効力感との相関係数は0.57で併存的妥当性を確認した。その後,特性的自己効力感・領域固有の自己効力感・手術室勤務継続意思の3つの関連について共分散構造分析(n=493)を行った結果,手術室勤務継続意思に影響するのは,領域固有の自己効力感であった。領域固有の自己効力感には,手術室内のソーシャルサポートや患者との関係,手術看護に関する教育などが関連していた。

結論 手術看護に関する領域固有の自己効力感は,本研究によって開発された5項目の尺度によって測定可能と考える。手術室看護師の勤務継続意思に影響するのは,特性的自己効力感より,手術看護に関する自己効力感であることが示唆された。手術室看護師が現在所属する手術室で勤務し続けようとする意思を保つには,領域固有の自己効力感を高めることが有効である可能性がある。

キーワード 手術室,看護師,特性的自己効力感(GSE),領域固有の自己効力感(SSE),勤務継続意思

 

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