メニュー

論文記事:NPO法人の活動分野における保健・医療・福祉の特性 201510-05 | 一般財団法人厚生労働統計協会|国民衛生の動向、厚生労働統計情報を提供

m header btn

一般財団法人 厚生労働統計協会

サイトポリシープライバシーポリシー

pmark     お問い合わせ

論文

論文

第62巻第12号 2015年10月

NPO法人の活動分野における保健・医療・福祉の特性

武村 真治(タケムラ シンジ)

目的 ソーシャル・キャピタルの醸成において重要な役割を担う特定非営利活動法人(NPO法人)の活動分野の1つとしての「保健・医療・福祉」の特性を明らかにし,国民の健康・福祉の向上に資するNPO法人の活動を促進するための方策を検討した。

方法 内閣府が運営管理する「NPO法人ポータルサイト」において所轄庁(都道府県,政令指定都市)の認証を受けて登録されているNPO法人のうち,解散または認証取り消しがなされておらず,活動分野が明示されている49,319法人を対象として,活動分野(保健・医療・福祉,社会教育,まちづくり,観光,農山漁村・中山間地域,学術・文化・芸術・スポーツ,環境の保全,災害救援,地域安全,人権・平和,国際協力,男女共同参画社会,子どもの健全育成,情報化社会,科学技術の振興,経済活動の活性化,職業能力・雇用機会,消費者の保護,連絡・助言・援助,条例指定)などの登録データを分析した。

結果 保健・医療・福祉を活動分野とするNPO法人は約6割であった。保健・医療・福祉以外を活動分野とするNPO法人は他の複数の分野の活動を実施していたが,保健・医療・福祉を活動分野とするNPO法人は他の分野で活動していない傾向がみられ,保健・医療・福祉分野単独で活動している割合が大きかった。保健・医療・福祉を活動分野とするNPO法人は,職業能力・雇用機会,人権・平和,地域安全,男女共同参画社会,災害救援,消費者の保護,条例指定の分野で活動している傾向がみられたが,それ以外の分野の活動を実施していない傾向がみられた。活動分野の有無を変数とした因子分析の結果,保健・医療・福祉,人権・平和,男女共同参画社会に共通する因子が抽出された。

結論 NPO法人の活動分野の中で保健・医療・福祉は最も多く,今後もNPO法人が一定の役割を担っていくことが可能であると考えられるが,保健・医療・福祉は専門性が高いため,他の活動分野からの参入が阻害されている可能性がある。保健・医療・福祉の行政部門は,その連携体制を人権・平和,男女共同参画社会などに拡大し,保健・医療・福祉分野のNPO法人が関与する他の活動分野でも行政との協働が可能になるように支援する必要がある。

キーワード 特定非営利活動法人(NPO法人),ソーシャル・キャピタル,保健・医療・福祉,人権擁護

 

論文