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論文記事:東日本大震災時に実施された避難所サーベイランスの評価と今後に向けた準備 201509-06 | 一般財団法人厚生労働統計協会|国民衛生の動向、厚生労働統計情報を提供

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第62巻第11号 2015年9月

東日本大震災時に実施された避難所サーベイランスの評価と今後に向けた準備

杉下 由行(スギシタ ヨシユキ) 菅原 民枝(スガワラ タミエ) 大日 康史(オオクサ ヤスシ)
島谷 直孝(シマタニ ナオタカ) 高橋 琢理(タカハシ タクリ) 安井 良則(ヤスイ ヨシノリ)
中島 一敏(ナカシマ カズトシ) 砂川 富正(スナガワ トミマサ) 神谷 信行(カミヤ ノブユキ)
灘岡 陽子(ナダオカ ヨウコ) 谷口 清洲(タニグチ キヨス) 岡部 信彦(オカベ ノブヒコ)

目的 2011年3月11日の東日本大震災後に避難所での感染症の流行を早期に把握するため,症候群を用いた避難所サーベイランスが導入された。本研究の目的はこの避難所サーベイランスの評価を行うことである。

方法 評価は,石巻市,東松島市,女川町を管轄する宮城県石巻保健所で実施した。避難所サーベイランスは2011年3月に国立感染症研究所が提案し,石巻保健所管内の避難所では,2011年5月からWebページ入力によるシステムを用いて開始された。2011年7月,保健所の避難所サーベイランス担当職員から実施状況を聞き取りし,「報告の過程」「避難所でサーベイランスに携わる者の症候群への理解」「迅速なシステム変更の可否」「専門職が報告を担当している避難所の割合」「避難所の参加率」「参加避難所からの自発的な報告率」「市町別の避難所参加率」「発症から報告までにかかる時間」「予定外のシステム機能停止の回数」「データ処理に要する時間」について評価を行った。

結果 避難所が保健所に報告し,保健所がデータ入力する運用であったため報告の過程は単純ではなかった。避難所でサーベイランスに携わる者の症候群への理解は十分であった。これまで稼動実績のある症候群サーベイランスシステムを導入しており新たな症候群の追加等には迅速に対応できる状態であった。保健師,看護師等の専門職が報告を担当している避難所の割合は約25%であった。避難所の参加率は41%,参加避難所からの自発的な報告率は20%であった。市町別の避難所参加率は,石巻市60%,東松島市2.5%,女川町46%であった。発症から報告までにかかる時間は1週間以内であった。予定外のシステム機能停止の回数は0回であり,データ処理は瞬時に行われた。

結論 将来の災害に備えるために,今後は避難所でサーベイランス情報を入力できる環境を作り上げ,教育や訓練を実施していくことが重要である。

キーワード 自然災害,サーベイランス,避難所,評価

 

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