メニュー

論文記事:認知症対応型生活介護(グループホーム)における看取りの実態と課題 201508-05 | 一般財団法人厚生労働統計協会|国民衛生の動向、厚生労働統計情報を提供

m header btn

一般財団法人 厚生労働統計協会

サイトポリシープライバシーポリシー

pmark     お問い合わせ

論文

論文

第62巻第8号 2015年8月

認知症対応型生活介護(グループホーム)における看取りの実態と課題

-運営法人別の特徴について-
小長谷 陽子(コナガヤ ヨウコ) 鷲見 幸彦(ワシミ ユキヒコ)

目的 認知症対応型共同生活介護(GH)は,介護保険法の施行後,施設数が増加し,GHにおける看取りも増えている。近年,増加が著しい営利法人運営のGHを含めた運営法人別の看取りの実態と課題を明らかにする。

方法 愛知・岐阜・三重3県のGH840カ所に調査票を郵送した。内容は,GHの運営主体,本体施設の有無とある場合の施設種類,ユニット数,利用者の診療体制,急変時や看取りに関するマニュアルの有無,急変時の医師への連絡体制,看取りへの協力の有無,過去の看取りの経験とその評価,今後の看取りに対する意見等である。調査期間は平成25年10月1日から11月末日までであった。

結果 522カ所のGHから有効回答を得た(回収割合:62.1%)。法人別で最も多かったのは株式会

社,次いで有限会社であった。これらとその他の会社法人を合わせて営利法人とした。解析は,営利法人,医療法人,社会福祉法人の3群で行った。単独型は全体で56.6%,社会福祉法人および医療法人では単独型はそれぞれ12.9%,11.8%であったが,営利法人では80.3%であった。併設型の場合の本体施設は,医療法人では病院と診療所,社会福祉法人では特別養護老人ホームが多かった。ユニット数は2ユニットが最も多く,次いで1ユニットであった。社会福祉法人では1ユニットが50.5%であり,医療法人と営利法人では2ユニットがそれぞれ62.3%,67.1%であった。本人や家族がGHでの看取りを希望した場合,「協力する」と答えたのは40.8%,「協力しない」は10.8%,「条件により協力する」は47.9%であった。社会福祉法人では「協力しない」が20.2%であったのに比べ,医療法人と営利法人ではそれぞれ9.3%,8.4%であった。GHでの看取りの経験は,59.0%のGHで「ある」と答えた。社会福祉法人では51.0%で経験がなかったが,医療法人と営利法人ではそれぞれ55.3%,63.0%の経験があり,3群間で有意な違いがみられた。看取りの回数は2~4回が最も多く,次いで1回であり,10回以上のGHもあった。医療法人と営利法人では5~9回がそれぞれ19.5%,19.1%であり,医療法人では10回以上が17.1%であったが社会福祉法人では2.2%であった。

結論 医療法人のGHは本体が医療施設であることから,医療との連携は十分であり,看取りの経験豊富な事業所が増えていた。一方,社会福祉法人では医療との連携はやや薄いながら,看取りに関する職員や家族の満足度が高く,質の良い看取りが行われていると考えられた。GHでの看取りの実態には,運営法人の背景に基づく特徴が反映されていた。

キーワード 認知症対応型共同生活介護(グループホーム),看取り,営利法人,医療法人,社会福祉法人

論文