論文
第62巻第7号 2015年7月 大学生における早食いと肥満の関係山根 真由(ヤマネ マユ) 江國 大輔(エクニ ダイスケ) 森田 学(モリタ マナブ) |
目的 多くの横断研究では早食いと肥満との関連が示唆されているが,縦断研究で若年者を対象に早食いと肥満との関連を調べたものはあまりない。本研究の目的は,日本の大学生を対象に早食いと肥満との関連を縦断研究で調査することである。
方法 2010年4月に,岡山大学で行われた入学時の健康診断および3年後の健康診断を受診した1,396名のうち,BMIが25㎏/㎡未満の正常な体重の1,314名(男性676名,女性638名)を分析対象とした。早食いを含む生活習慣に関する自己記入式質問紙調査を行った。3年後の追跡調査時にBMIが25㎏/㎡以上だった者を「過体重/肥満群」,18.5㎏/㎡以上,25㎏/㎡未満だった者を「正常群」,18.5㎏/㎡未満だった者を「やせ群」と定義した。2群間(やせ群/正常群と過体重/肥満群)の食習慣の比較にχ2検定,「過体重/肥満群」の有無を従属変数,性別,早食い,油物をよく食べるを独立変数としてロジスティック回帰分析を行った。
結果 本研究では38名(2.9%)が3年後に過体重/肥満群となった。ロジスティック回帰分析では過体重/肥満群になるリスクは,男性でオッズ比2.77倍(95%信頼区間:1.33-5.79,P<0.01),早食いでオッズ比4.40倍(95%信頼区間:2.22-8.75,P<0.001)であった。
結論 日本の大学生において,早食いは肥満のリスクになることが示唆された。大学等で毎年実施されている健康診断の際に,BMIや食べる速さを調べること,および早食いの改善のために保健指導を取り入れることで,将来のBMI増加予防および生活習慣病予防に役立つことが期待される。
キーワード 早食い,大学生,肥満,縦断研究,BMI