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論文記事:低出生体重児出生率の地域差に関する検討 201507-04 | 一般財団法人厚生労働統計協会|国民衛生の動向、厚生労働統計情報を提供

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第62巻第7号 2015年7月

低出生体重児出生率の地域差に関する検討

芹澤 加奈(セリザワ カナ) 扇原 淳(オオギハラ アツシ)

目的 低出生体重児は,生活習慣病等の発症リスクが高いことが知られているが,2000年代以降,わが国では,低出生体重児出生率が増加している。低出生体重児の出生に関連する要因の中でも,時間的空間的な特徴は明らかになっていない。そこで本研究では,都道府県レベルでみた低出生体重児出生率の年次推移について検討し,低出生体重児出生の時間的空間的な偏在とその特徴について明らかにすることを目的とした。

方法 厚生労働省,総務省統計局公表の都道府県別指標データから,1975年,1992年,2009年の2,500g未満出生率を抽出した。3つの年次の低出生体重児出生率を白地図上に色分けし,視覚化した。次に,抽出した年次データを用いて,都道府県別に低出生体重児出生率の増加率を算出した。

結果 1975年では,低出生体重児出生率の高かった上位5県は沖縄県,佐賀県,宮崎県,熊本県,高知県で,九州沖縄地方に集中していた。低い県上位5県は,青森県,宮城県,山形県,長野県,埼玉県で東北地方に多かった。1992年では,沖縄県,福岡県,静岡県,栃木県,佐賀県の順で高かった。2009年では,山梨県,沖縄県,島根県,鹿児島県,宮崎県の順で高かった。1975年を基準年とした2009年の低出生体重児の増加率は,山梨県(206.6%),長野県(193.9%),島根県(188.8%),青森県(187.2%),栃木県(183.1%)の順で高かった。

結論 わが国の低出生体重児出生率は周産期医療体制の整備とともに増加していった。都道府県別の低出生体重児出生率は,1975年には九州沖縄地方に多く,1992年には九州沖縄地方に加えて静岡,栃木といった本州の県で高い傾向がみられた。2009年には,再び九州沖縄地方で高い傾向がみられた。低出生体重児出生率の増加率(2009年/1975年)が高かった県は,周産期医療に関わる資源が高い可能性が考えられた。今後,低出生体重児出生率のリスク要因の分析に際しては,正・負双方の要因に注意した分析が求められる。

キーワード 低出生体重児,出生率,都道府県,年次推移

 

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