メニュー

論文記事: インフォームド・コンセントとインフォームド・チョイスの理想と現実 201505-02 | 一般財団法人厚生労働統計協会|国民衛生の動向、厚生労働統計情報を提供

m header btn

一般財団法人 厚生労働統計協会

サイトポリシープライバシーポリシー

pmark     お問い合わせ

論文

論文

第62巻第5号 2015年5月

インフォームド・コンセントと
インフォームド・チョイスの理想と現実

-患者の性差による分析-
塚原 康博(ツカハラ ヤスヒロ)

目的 患者調査から得られたデータを使用して,治療方法と薬の選択に関するインフォームド・コンセントとインフォームド・チョイスの理想と現実において,患者の属性が影響しているかを検証した。患者の属性として,性別,年齢,学歴を取り上げたが,性別のみに一貫した傾向がみられたので,患者の属性のうち,性別に限定した分析結果を報告する。

方法 2004年に関東,中部,近畿の各地方の患者を対象に実施された『患者さんの「医療への参加」に関する意識調査』のうち,治療方法と薬の選択に関するインフォームド・コンセントとインフォームド・チョイスの理想と現実に関する質問と患者の属性に関する質問から得られたデータを使用し,クロス集計表による分析およびMann-Whitney検定による分析を行った。

結果 治療方法と薬の選択に関するインフォームド・コンセントとインフォームド・チョイスにおいて,女性のほうが男性よりも患者の意向を重視した決定を望んでおり,現実においても女性のほうが男性より患者の意向を重視した決定がなされていると感じていることが示された。

結論 上記の結果が得られた理由として,女性は,防衛的で損失回避的な性質があることが考えられた。医師と対面する場合でも,損をしないように,危害を加えられないようにしたいため,より自分の意思を尊重してもらいたいという希望が強く,医師と対面する場面でも,男性は余計なコミュニケーションをしないが,女性は安心を得られるような丁寧なコミュニケーションを求めていると考えられる。そして,現実の場面でも,女性のほうが不安解消のために積極的にコミュニケーションをとるため,より患者の意思を尊重してもらう機会が増え,実際にもそうなっていると考えられる。

キーワード インフォームド・コンセント,インフォームド・チョイス,性差,治療方法,薬の選択

 

論文