論文
第62巻第5号 2015年5月 介護老人福祉施設職員の「介護実習指導を通じての学び」の
山本 綾美(ヤマモト アヤミ) |
目的 介護老人福祉施設の職員の「介護実習指導を通じての学び」の内容を明らかにし,実習に対する関心や,職員の自己成長を促す実習の体制を構築するための資料を得ようとした。
方法 首都圏の介護老人福祉施設250施設の職員(「窓口者」「フロア長」「一般職員」各施設1人ずつ)を対象に,郵送法による自記式質問紙調査を実施した。本研究では,「フロア長」を“学生が実習を行うフロアの長”,「一般職員」を“フロア長以外の実習を担当する介護職員”とした。
結果 有効回答は82施設の164人であった(有効回答率32.8%)。因子分析の結果,「介護実習指導を通じての学び」の内容として,“実践の振り返り”“施設の評価と職員教育”“利用者支援の新たな視点”“指導方法”“養成校とのパイプ”“仕事への愛着”の6因子が抽出された。相関分析の結果,実習指導継続希望は6因子すべてと正の相関がみられ,“仕事への愛着”とは中程度の相関がみられた。また,「フロア長」「一般職員」を独立変数にt検定を行った結果,6因子のいずれにおいても有意な差はみられなかった。
結論 施設職員の「介護実習指導を通じての学び」を促していくことで,実習指導継続の希望,実習に対する関心を高められる可能性があることが示唆された。実習指導に携わる職員の学びを促す実習体制の構築が今後の課題である。
キーワード 介護実習指導を通じての学び,実習指導者,介護職員,介護老人福祉施設